2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳内亜鉛の恒常性破綻に起因する神経細胞障害の分子機構の解明と神経保護物質の探索
Project/Area Number |
17590475
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (30305495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40137063)
太田 光煕 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00330423)
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Keywords | アポモルフィン / 酸化ストレス / 神経保護作用 |
Research Abstract |
アポモルフィン(Apo)はドパミンD_1/D_2受容体アゴニストであり、欧米ではパーキンソン病の治療薬として用いられている。一方で、Apoはラジカル消去作用を有しており、酸化ストレスによる神経芽細胞腫SH-SY5Yの細胞障害はApo共存下で抑制されることが報告されている。これに加え、我々は、SH-SY5Y細胞をApoで前処理することにより、Apoの酸化ストレスに対する保護作用がさらに増強されることを報告しているが、この作用機序は明らかとなっていない。 NF-E2 related factor 2(Nrf2)は、薬物代謝第2相酵素や抗酸化タンパク質の誘導に関与する重要な転写因子である。Nrf2は、活性酸素種(ROS)などの刺激により細胞質から核内に移行し、遺伝子上に存在する抗酸化剤応答配列(ARE)に結合することで標的遺伝子の発現を誘導する。それゆえ、Nrf2を活性化させることにより神経細胞内の抗酸化作用を有する一群のタンパク質の発現を亢進させ、酸化ストレスに対する抵抗性を神経細胞に獲得させることができれば、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療にもつながると考えられている。 そこで、我々は、Apoの前処理によるSH-SY5Y細胞の保護作用の亢進にNrf2-ARE経路が関与しているのではないかと考え検討を行った。その結果、Apoが濃度依存的にAREを活性化すること、また、AREを介して発現が誘導されるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の発現がApoにより濃度依存的に亢進することを明らかにした。また、ApoによるAREの活性化やHO-1の発現誘導が抗酸化剤で阻害されること、Apoにより細胞内にROSが産生することも明らかとなり、ApoによるNrf2-ARE経路を介した神経細胞保護作用の発現には、ROSが情報伝達分子と重要な役割を担っていることが示唆された。
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