2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミニバイオ人工肝臓と^<13>C安定同位体化合物代謝を利用した肝毒性試験の開発
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17590476
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松浦 知和 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30199749)
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Keywords | 毒性試験 / バイオ人工臓器 / 代替臓器 / 安定同位体 / 呼気試験 / 糖代謝 / 癌 / 3次元培養 |
Research Abstract |
ヒト培養細胞を用いた毒性評価法は、動物とヒトという種の違いを埋める手法である。しかし、従来の単層培養法では、細胞が生体で持っていた機能を再現することはできない。3次元高密度培養法で作製したバイオ人工臓器は、ヒト組織・臓器の代替臓器として利用できる。今回の研究では、代替臓器での代謝評価を簡易に感度良く行う方法として、^<13>C安定同位体化合物代謝を利用した代謝・毒性試験の開発を行った。 3次元培養は、単層培養に比較すると大掛かりな培養で、1回の実験で多くの条件を設定し、多数のリアクターを稼動させることは困難である。このため、ひとつのリアクターの稼動状況を丹念に、簡易に評価するためのシステムが必要である。まず、3次元培養系を簡易にするため、混合ガス供給装置を作製し、CO_2インキュベーターや大掛かりなコントローラーがなくても、培養系の酸素を供給し、pHを調節できるシステムに改良した。薬剤の毒性評価や、ある特定の代謝評価を培養経過とともに行うため、^<13>C安定同位体標識化合物の代謝排出^<13>CO_2測定法を開発した。その主な利点は、(1)種々の標識化合物を用いることで特定の代謝が評価でき、(2)排出ガスをリザーバーから回収すれば測定でき、リアクターを開けて細胞をサンプリングする必要がない、(3)サンプリング後、迅速(2分30秒)に^<13>CO_2を測定することができる。 本研究の結果、3次元高密度培養による代替バイオ人工臓器に、^<13>C安定同位体標識化合物を添加し、その最終代謝物質である排出^<13>CO_2の測定することによって、生体での代謝シミュレーションを簡便に行うことができる系が開発できた。客観的評価は、代謝モデリングとコンピューター・シミュレーションを応用できる。今後、動物やヒトでの検討の前に、薬物や食品添加物質の毒性・代謝の評価に、代替バイオ人工臓器と安定同位体標識化合物を用いた代謝研究が有用となる。
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Research Products
(9 results)