2006 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的プロテオーム解析を駆使した難治性悪性腫瘍の新しい疾患マーカーの探策
Project/Area Number |
17590485
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 文夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80164739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 毅 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80227644)
宮崎 勝 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70166156)
山口 武人 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (00241969)
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Keywords | プロテオーム / プロテオミクス / SELDE-TOF MS / 膵癌 / アルコール依存 / 2D-DIGE |
Research Abstract |
平成18年度はプロテインチップシステム(SELDI-TOF MS)を用いた膵癌の新しい血清マーカーの探索を行った。膵切除術を受けた膵癌症例12例の術前・術後に採取された血清をSELDI-TOF MSにより解析した結果、術前後に有意に変化する複数のたんぱく質・ペプチドピークが検出されたが、とくに顕著であった6630Daのたんぱく質を精製・同定した結果、これまで膵癌との関連が知られていないたんぱく質であった。この6630Daたんぱく質の術前の血清レベルが高い群では低値群に比し予後があきらかに不良であった。また同たんぱく質は膵癌細胞の培養上清においても確認された。したがって、この6630Daたんぱく質は膵癌の新しい腫瘍マーカーとなるだけでなく、予後因子としても重要であると考えられる。また、このたんぱく質の発現をsiRNAにより抑制すると培養膵癌細胞の増殖能が低下し、アポトーシスが誘導されることも確認された(論文投稿中)。 一方、習慣飲酒は食道癌のリスクファクターの一つである。申請者らはこれまでにSELDI-TOF MSを用いた習慣飲酒の新規マーカーの探索を行ってきたが、質量分析計による解析には限界がある。そこで、中・高分子量たんぱく質の網羅的解析を目的として、まず血清中に多量に存在するアルブミン、グロブリンなどを選択的に除去した後に一次元目の泳動にアガロースを用いる多重蛍光標識たんぱく質発現ディファレンス解析(2D-DIGE)を行った。断酒目的で入院されたアルコール依存症例を対象として、断酒前後の血清たんぱく質の比較解析を行った結果、断酒前後で発現レベルが有意に変動する血清たんぱく質を8個検出・同定することができた。
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