2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連転写因子活性化測定法開発による全身性炎症反応症候群の病態迅速診断
Project/Area Number |
17590486
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北島 勲 富山大学, 医学部, 教授 (50214797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 裕幸 富山大学, 医学部, 助教授 (60186210)
安岡 彰 富山大学, 医学部, 助教授 (80242113)
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Keywords | 全身性炎症反応症候群 / 炎症性サイトカイン / 迅速検査 / 転写因子 / NF-κB / 敗血症 / ELISA / 1分子計測 |
Research Abstract |
全身性反応症候群(以下SIRSと略する)は現代医学でも救命が困難な病態である。本研究はその病因である炎症性サイトカイン発現異常を総括的かつ迅速に把握できる検査法を開発しSIRSの救命率向上に寄与することを目的とする。そこでSIRSの病因に関与する転写因子を1分子レベルで測定できる測定法を開発する。平成17年度の研究成果を以下に述べる。 1.炎症性サイトカインストームと転写因子NF-κBの関係:マウスマクロファージにLPSを添加するとグラム陽性菌の受容体であるTLR2発現が誘導される。グラム陰性菌とグラム陽性菌の複合感染ではNF-κB異常活性亢進が関与することを明らかにした。 2.特異的NF-κB結合プローブと結合条件決定:NF-κB結合コンセンサスシーケンスはGGGACTTTCであるがその前後配列で特異性が決定される。最終的に最も特異性の高いプローブ:AGCTTCAGAGGGGACTTTCCGAGAGTACTGを決定し合成した。 3.NF-κBp50測定用ELISAシステムの構築:2)で得られた特異性の高いプローブの3末をビオチン化し、96穴プレート上に固着した。本プレートに細胞核蛋白を添加し、NF-κBp50 1次抗体と2次抗体を反応させ発色反応による吸光度で解析した。本ELISA法はp50リコンビナント蛋白6.25ngまで測定可能であり、HeLa細胞核蛋白の検討では総蛋白5μgから30μgまでOD値との間にR^2=0.9862の相関があった。 4.表面共鳴プラズモン法(SPR)を用いたNF-κB高感度・迅速測定法開発 SPRのセンサーチップ金表面に2)で作成したNF-κBプローブを固定した。フローチャンネルに核蛋白を流すとこのプローブにNF-κBが結合する。一定の角度・波長をプリズムに照射すると屈曲した光が金表面に当たり、屈折率の変化で反射光にずれが生じる。本方法でNF-κBは5ngまで測定が可能となり15分で結果を出すことが可能となった。 以上、SPR法を基盤にしたNF-κB高感度・迅速検査法の開発まで到達した。本方法により測定感度に対しては到達目標に達したが、特異性に問題が残ること測定誤差範囲も広いことから平成18年度はこの問題点解決に向けた研究が中心となる。
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Research Products
(7 results)