2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連転写因子活性化測定法開発による全身性炎症反応症候群の病態迅速診断
Project/Area Number |
17590486
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北島 勲 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (50214797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 裕幸 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (60186210)
安岡 彰 長崎大学, 医学部, 教授 (80242113)
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Keywords | 全身性炎症反応症候群 / 炎症性サイトカイン / 迅速検査 / 転写因子 / NF-κB / 敗血症 / ELISA / SPR |
Research Abstract |
腫瘍壊死因子(TNF)α、インターロイキン(IL)6、8、18等の炎症性サイトカイン産生亢進状態を網羅的に予測できるシステム構築が本研究の目的であり、その臨床応用として全身性炎症反応症候群(SIRS)の発症予測を可能とすることが到達目標である。平成18年度はまずNF-κB活性化測定が炎症性サイトカイン発現を予測できるのかin vitro実験系で検証した。次にNF-κB定量測定用ELISA法を用いて、健常者ボランティアのリンパ球核内NF-κB測定し、健常者の基準範囲を設定した。さらに高感度測定のため表面共鳴プラズモン法(SPR)法によるNF-κB測定特異性を検討し、病院検査室に応用できるか検討した。詳細は以下のごとくである。 1)NF-κB定量測定用ELISAシステムによるNF-κB活性化とIL-6経時解析:ヒト末梢血単核球にPHA/PMAを刺激すると、刺激30分で核内NF-κBp50が上昇(OD値が0.3から1.6)、しかしIL-6産生はこの時点では確認できなかった。しかし、刺激4時間でIL-6産生上昇(OD値が30分で0.12から4時間で0.41)が確認され、NF-κB活性化がIL-6産生に先行することを確認した。 2)NF-κB定量測定用ELISAシステムによる健常者リンパ球核内NF-κB量の基準範囲設定:平成17年度に報告した方法に基づきELISAプレート面にNF-κB結合二重鎖DNAプローブを置き、NF-κBp50抗体とP65抗体で検出する2つのELISAを用いた。インフォームドコンセントが得られた健常者(28人)リンパ球核蛋白で測定した。その結果p50ELISAで3名が0.01ng/μgで残り25名は0.005ng/μg以下の測定限界以下、p65ELISAでは28名全例がOD値0.1以下の測定限界を示し、健常人はほとんど核内へNF-κBが移行していないことが推定できた。 3)SPRを利用した高感度測定法の特異性検討:健常者の核内NF-κB量がELISA測定限度以下の0.01ng/核蛋白(μg)以下に存在することより、さらに高感度化を実現するためSPR法応用を検討した。HeLa細胞にTNF激した核蛋白で検討した結果、0.001ng/μgまでシグナルが得られたが、NF-κBとのプローブ競合反応試験にて、非特異的反応が強く,高感度に伴う特異性低下が課題となった。 以上、臨床検査領域で炎症性サイトカイン産生を予測するための転写因子NF-κB活性化測定には、0.001ng/μg以下まで直線性を示す高感度測定系とその特異性が保障される新しい測定技術導入開発をすすめる必要があることが明らかとなり、現在、新しい1分子計測法を用いた測定法を検討中である。
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Research Products
(7 results)