2005 Fiscal Year Annual Research Report
移植拒絶反応に伴う新しい急性炎症反応性蛋白の診断的・機能的役割の解明
Project/Area Number |
17590491
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池本 正生 京都大学, 医学部, 助教授 (80144385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40293865)
松本 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359834)
|
Keywords | Acute inflammation / Neutrophil / Macrophage / Transplant rejection / S100 family / Cytokines / Nitric oxide gas / Inflammatory maker |
Research Abstract |
当初,赤十字血液センターから白血球層を提供して頂きヒト白血球からS100A8/A9 complexの精製を試みていたが,その精製は非常に困難であった。そこで,今回新しい電気泳動システムを導入しS100A8/A9 complexの精製を試みたところ,S100A8/A9 complexのみ迅速に,かつ大量に精製することに成功し,本蛋白を用いた動物実験を行った。その結果,S100A8/A9 complexの機能の一部を実験的に示すことができ,報告した(投稿中)。ところが,赤十字血液センターの輸血用血液処理システムの変更により,材料となるヒト白血球の提供が途絶えることになり,S100A8/A9 complexの確保が急務となった。そこで我々は,遺伝子工学技術を駆使してリコンビナントのS100A8及びS100A9を作製することを試みた。まず,発現後の精製が容易になるように遺伝子ヒスタグの配列を加えたプラスミドを作製した。次に,このプラスミドを大腸菌体内に挿入し形質転換を行った。LB培地で培養しIPTGで蛋白の発現を誘導したところ,大腸菌体内に両タンパク質を発現させるに成功した。続いて,両タンパク質の精製にも成功し,研究に必要な大量のS100A8及びS100A9を無尽蔵に確保する系を確立した。しかし,我々が目的としている蛋白はS100A8/A9 complexであることから,S100A8及びS100A9ヘテロダイマーである S100A8/A9 complexを構築する研究を続けており,現在,約40%の効率でヘテロダイマーの合成に成功している。次年度は,今年度生化学的に精製したヘテロダイマーS100A8/A9 complexを用いた動物実験により,我々の最大の目的である急性炎症における本蛋白の本質的な機能的役割を解明したい。
|