2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン・プロテアソーム系を指標とした悪性腫瘍に対する新しい検査法の開発
Project/Area Number |
17590494
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 恭暉 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (60145232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 寛雄 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00398166)
上平 憲 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / 悪性腫瘍 / ATL / p53 / Mdm2 / HTLV |
Research Abstract |
悪性腫瘍におけるユビキチン・プロテアソーム系の異常については、ユビキチンリガーゼ(E3)であるSCF^<Fb11/Skp2>が最も良く研究されている。SCF^<Fb11/Skp2>は細胞周期制御因子の一つであるp27をユビキチン化する酵素であり、全癌の約50%でp27の発現が低下しているのはSCF^<Fb11/Skp2>の発現増加によると考えられている。 そこで本研究ではまずSCF^<Fb11/Skp2>を含めた各種E3について成人T細胞白血病(ATL)を腫瘍モデルとして検討を行なった。その結果、予想に反してSCF^<Fb11/Skp2>mRNAの発現は全く増加していないことが明らかになった。 このことは、ATLにおいてp27遺伝子やその発現にほとんど異常が認められない結果と一致する。同様にIkBのE3であるSCF^<Fbw1>や、securinのE3であるAPC/C^<Cdc20>、cyclin BのE3であるAPC/C^<Cdh1>も増加していなかった。一方、p53のE3であるMdm2は増加していた。しかしMdm2の発現量とATLの悪性度との問に有意な相関を認めなかったことから、Mdm2の発現増加はATL発癌における初期イベントである可能性が示唆された。つまりMdm2の高い発現によってp53の機能が抑制されて高い細胞増殖が維持され、その後のp53遺伝子変異によってp53が完全に不活化されて加速度的に悪性度の高い病型へと移行すると推測された。本研究によって各種E3の中でもMdm2の発現定量が特にATLの早期診断に有用であることが明らかにされた。以上の結果をまとめて現在投稿準備中である。 E3の発現を指標にした治療法の選択についても研究を進めている。最近Mdm2の機能を特異的に抑制する新規抗癌剤であるNutlin-3aが開発されて注目されている。私達は各種株細胞についてNutlin-3aに対する感受性とp53遺伝子変異の有無について検討しているが、Nutlin-3aは正常なp53が存在しなければその有効性を発揮することができない。つまりNutlin-3aは正常なp53が存在し、またMdm2の発現が高い低悪性度なATLに対する早期治療法として最も優れていると考えられる。Mdm2の定量は治療法選択の上からも重要であると考えさらに検討を進めている。
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Research Products
(3 results)