2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性リンパ性白血病における微小残存病変の病態および予後との相関に関する研究
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17590497
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横田 昇平 京都府立医科大学, 医学研究科, 淮教授 (80231687)
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Keywords | 白血病 / 微小残存病変 / 多施設共同研究 |
Research Abstract |
本研究は成人急性リンパ性白血病(adult acute lymphoblastic leukemia, a-ALL)を対象として、初診時の白血病細胞がクローン性に持つT細胞受容体γ/δ鎖、免疫グロプリンH/κ鎖遣伝子再構成をマーカーとして、寛解導入後も微量に存在する白血病細胞をPCR増幅で定量するもので、比較的予後良好と考えられるbcr/ab1陰性者についてはMRDの多少を以て造血幹細胞移植治療の適応を決め、その有用性を確認する前方視的研究である。 寛解導入、地固め療法期に施される4つの治療ブロック(A1→C1→A2→C2)の各終了時に骨髄を採取し、A2以降もMRD陽性である症例には同種幹細胞移植を行ない、それ以外には維持療法を行いつつ、定期的に骨髄を採取し、MRD陽転後は速やかに移植治療に切り替えるものである。 本研究に登録されたa-ALL症例は2007年3月現在79例で、本研究の最終年度である19年度には目標とする100例に達すると予想している。初診時の遺伝子再構成スクリーニングの済んだ70症例のうち、1個以上のマーカーがみられたのは51例であった。これらの症例については、再構成部位の塩基配列の同定と症例特異的な増幅用PCRプライマーの設定が可能であった。 MRD定量に用いたマーカーを遺伝子再構成別にみると、TCRγ 20例、IgH 15例、TCRδ 12例、Igκ 4例であった。MRD検出感度は100,000分の1が6例、10,000分の1が31例、1,000分の1が8例であった。 治療早期(A1後(ポイント1)およびC1後(ポイント2))の骨髄MRD定量が可能であった45例の患者のうち、陽性(1,000分の1以上)であったのはA1後で23例(51%)、C1後で7例(15.5%)であり、治療開始約3ヶ月目となるC1の陰性化率は小児ALLとほぼ同率であったが、約1ヶ月目となるA1の陽性率が高いのが目立った。 45例のうち、初診時のreal time PCRでm-bcrもしくはM-bcrが陽性であったものは19例(42%)であった。bcr陽性例では、ポイント1/2のMRDが+/+のものが4例、+/-が8例、-/-が7例であった。一方、bcr陰性例では、MRD+/+が5例、+/-が7例、-/-が14例で、相対的にbcr陰性例でMRDの早期陰性化症例が多いことがわかった。 初診時のPh (bcr/abl)が陰性であった18例では、TCR, Ig遺伝子再構成によるMRD検査結果に基づき、移植/維持療法の要否判定を行った。このうち、A2,C2で陽性であった2例は幹細胞移植を行った。残り16例は維持療法対象となり、現在経過観察中である。
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Research Products
(4 results)