2005 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p21を癌の診断に利用するための基礎研究
Project/Area Number |
17590498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福地 邦彦 昭和大学, 医学部, 助教授 (70181287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / サイクリンキナーゼ / p21 / アポトーシス / カスパーゼ3 / 細胞内局在 |
Research Abstract |
p53の下流でDNA損傷時に細胞増殖抑制を行っている癌抑制遺伝子のサイクリンキナーゼインヒビターp21は、他の様々な蛋白との複合体として存在し、結合した蛋白の活性を抑制、あるいは安定化することで細胞増殖を制御する。このことから、p21は発現した後の細胞内での局在やp21の構造により、複数の異なる機能を有する多機能蛋白である。特にアポトーシス誘導に関しては、その発現状態により、促進的または抑制的と全く異なった機能を示す。本年度は、p21の細胞内局在を決定する一つの因子として、C末端側のリン酸化とアポトーシス誘導に注目した。p21は全長164アミノ酸から構成され、C末に核局在シグナルが存在し、C末の145Thr,146Serがリン酸化されると細胞質に局在する。そこで、145Thrと146SerのAla(非リン酸化体)であるT145A, S146A、あるいはAsp(擬リン酸化)変異体であるT145D,S146Dを作成し、それらをヒト大腸癌細胞株に発現させ、細胞内局在と放射線照射後のアポトーシス実行経路に及ぼす影響を観察した。T145A、S146Aは核局在の発現であったが、T145D,S146Dは核と細胞質両方に発現が認められた。10Gyのγ線照射後には、4種の変異体ともCyclinAとCdk2との結合が増加しており、サイクリンキナーゼインヒビターとして機能していた。また、アポトーシス実行の主要酵素であるcaspase3活性を測定したところ、4種の変異体とも変異体を持たない細胞と同様の活性であった。しかし、アポトーシスの表現型を観察しているFACSによるDNAヒストグラムでのpre-G1ピークの出現は、T145Dを認めた細胞で遅延した。この結果は、細胞質に局在するp21がcaspase3と、あるいはその下流エフェクターと相互作用して、放射線照射によるアポトーシス実行を抑制したと考えられる。
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Research Products
(1 results)