2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p21を癌の診断に利用するための基礎研究
Project/Area Number |
17590498
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福地 邦彦 Showa University, 医学部, 教授 (70181287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
|
Keywords | 癌抑制遺伝子 / 細胞増殖 / がん / p21 |
Research Abstract |
本研究の最終年度では、p21の発現安定化に際して、HSP90とのアダプター蛋白であるWISp39との相互作用について詳細な解析を行った。 実験は、大きく分けて、in vitroでの相互作用と、細胞に発現させた上での相互作用の観察を行った。大腸菌で大量発現させたWISp39と、ヒト大腸癌株細胞で一過性にp21を発現させた細胞上清を混合したところ、p21とWISp39の結合が観察された。p21のアミノ酸番号15-48領域を欠失させるとWISp39と結合しなかったことから、WISp39とHSP90によるp21の安定化には15-48領域が必須であった。細胞内でのp21とWISp39の結合実験では、WISp39とp21のcotransfection、WISp39恒常発現細胞におけるWISp39とendogenous p21、およびWISp39恒常発現細胞へのp21 cDNAのtransfectionにより結合の検討を行なった。細胞上清中に結合物は証明されなかった。in vitro実験で検出した結合が、細胞内で確認し得なかった理由として、本抽出条件では結合を維持し得ない、発現導入したWISp39が細胞内で適切な局在をしなかった、が挙げられる。今後、実験条件を検討し、細胞内での結合を証明する。さらに、WISp39によるp21の安定化をWISp39発現細胞で検討したが、顕著な安定化は検出されなかった。p21発現は、p21-WISp39-HSP90により安定化するとされているが、DNA損傷が存在しない環境では、必要以上のp21はWISp39によっては安定化しないのかもしれない。また、p21安定化にはPCNAやCDKなどの他の結合蛋白も関わっているため、それら因子の関与も検討しなくてはならない。 p21の基礎レベルの発現制御において、p21分子のN末領域の構造が関わっている。p21の基礎レベルの発現には、シャペロン蛋白やアダプター蛋白などの細胞因子も関与しているため、発現制御解析は、転写、転写後、および翻訳後の解析が必要となる。
|