2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析による抗癌剤耐性の診断法の開発
Project/Area Number |
17590499
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮地 勇人 東海大学, 医学部, 教授 (20174196)
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Keywords | 白血病細胞 / 薬剤耐性 / 遺伝子発現 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
癌の薬剤治療において、個々の患者で抗癌剤に対する治療反応性および副作用発現の程度は異なる。患者ごとに最適な治療効果を引き出し、副作用を最小限に抑えるには、腫瘍における治療抵抗性すなわち耐性の状態を知り、最も効果の高い薬剤を選択する必要がある。腫瘍における耐性機構を知るには、遺伝子発現の変化として、特定の抗癌剤に特異的な分子薬理学的機構や癌の発病・進展に重要な遺伝子発現など、多くの指標を解析する必要がある。本研究では、新規の耐性遺伝子候補について耐性診断の検出標的として評価を行い、DNAマイクロアレイ法を用いた遺伝子発現解析による抗癌剤選択のための薬剤耐性の遺伝子検査の開発および臨床応用を試みた。薬剤耐性の診断に有用な遺伝子パネル(アレイ)の構築において、まず、新規の薬剤耐性遺伝子候補について、機能解析による意義付けにより耐性診断に有用な遺伝子を絞り込むことを目的とした。 新規の候補遺伝子として、葉酸拮抗剤trimetrexate (TMQ)耐性に耐性化した白血病細胞株(MOLT-3/TMQ)において、cDNAマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングにて発現亢進の明らかとなったDNA修復関連のataxia telangiectasia (ATM)遺伝子について発現意義の解明を行った。MOLT-3/TMQからアガロースにてクローニングしたサブクローンSC8、SC2、SC1(それぞれ多剤耐性遺伝子MDR1が未発現、低発現、高発現)を用い、リアルタイムPCRを用いてATM遺伝子発現を定量的に測定した結果、それぞれの細胞においてATM発現はMDR1発現と平行して上昇した。放射線照射による殺細胞効果をアガロースclonogenic assayにて測定した結果、GOはATM発現と平行して上昇した。ATM発現レベルは抗白血病薬治療抵抗性および放射線抵抗性の分子機構に関与することが示唆された。
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