2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境有害因子のヒト神経および腎機能に及ぼす非顕性影響に関する研究
Project/Area Number |
17590507
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 範子 秋田大学, 医学部, 教授 (10222944)
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
苅田 香苗 帝京大学, 医学部, 講師 (40224711)
岩田 豊人 秋田大学, 医学部, 助手 (00321894)
嶽石 美和子 秋田大学, 医学部, 助手 (70375236)
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Keywords | 環境有害因子 / 神経科学 / 予防医学 / 臨界濃度 / リスク評価 |
Research Abstract |
環境中の有害因子の低濃度慢性曝露による非顕性の影響を客観的方法で検討し臨界濃度を明らかにする目的で研究を行った。 1、カドミウムおよびメチル水銀の腎影響の解析 食事由来の微量カドミウムおよびメチル水銀への曝露による腎機能影響を明らかにするため、秋田に住む女性59名(19〜20歳)の尿中のカドミウム濃度、総水銀濃度、α1-ミクログロブリン(AMG)、β2-ミクログロブリン(BMG)、N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)等を測定した。毛髪および爪の総水銀濃度も測定し、かつ半定量食事摂取頻度調査を用いた魚介類による水銀摂取量を推定した。水銀曝露指標間には有意な正の相関があり、尿中AMGとNAG活性は全ての水銀曝露指標と有意な正の関連が見られ、また尿中カドミウム濃度はAMGと有意な正の関連が見られた。以上より、カドミウムおよび水銀は腎尿細管機能に無症候性影響を及ぼすことが示された。 2、金属水銀蒸気の神経運動機能に及ぼす影響 現行の金属水銀蒸気のリスク評価は手のふるえ毒性に基づいてなされている。そこで、同様の神経運動機能検査の1つである身体重心動揺検査も加え、どちらの検査が金属水銀蒸気曝露に鋭敏であるのかを中国紀州の水銀曝露群27名(水銀鉱夫と精錬作業者)と性・年齢、住所地がマッチした非曝露群52名を対象として検討した。水銀曝露群の手の総ふるえ強度および1-6Hzおよび10-14Hzのふるえ強度は非曝露群と比べ有意に大きかったが、尿中水銀濃度との間に有意な関連は見られなかった。対照的に、身体重心動揺は曝露群と非曝露群に有意差は見られなかったが、開眼時左右方向の揺れが曝露群の尿中水銀濃度と有意な関連があった。以上より、身体重心動揺は金属水銀蒸気によって影響されるが、手のふるえほど水銀曝露に対し鋭敏な指標と言えないと考えられた。
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Research Products
(6 results)