2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156674)
湯村 守雄 産業技術総合研究所, ナノカーボンセンター, 総括研究員 (10358301)
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Keywords | カーボンナノチューブ / フラーレン / ナノマテリアル / 肺毒性 / ラット / 気管内投与 / 健康リスク評価 |
Research Abstract |
【はじめに】CNFの肺への影響評価を行うにあたり、まず懸濁液の影響の検討が必要であると考え、CNF蒸留水分散液をラットの気管内に反復投与し、CNFの生体影響評価を行うことを目的とした。 【方法】実験動物にはWistarラット(雄)を用い、1週間の馴化の後、8週齢より実験に供した。実験群はCNF群3群と対照群の4群設定し、各群8匹、合計32匹を用いた。CNF試料は、直径約20nm、平均アスペクト50以上の中空チューブ状のものを用いた。CNF試料を硫酸/硝酸の混合酸で120℃にて表面を酸化処理し、水洗、ろ過、希釈、pH調整して作成し、蒸留水に単分散した懸濁液を用いた(CNF分散液)。CNF投与群は1回投与量0.1mg/kg, 0.5mg/kg, 1.0mg/kgの3群を設定し、対照群には蒸留水(1回投与量1.0ml/kg)を投与した。各被験物質は2週間の間に5回投与し、最終投与の翌日に安楽死させ、肺を中心とした生体影響について検討した。 【結果および考察】CNFの投与によって、気道閉塞などの影響は観察されなかった。投与期間中の体重増加は、各CNF投与群と対照群との間で有意差を認めなかった。肺の相対重量は、CNF1.0mg/kg投与群では対照群に比べて有意に増加が認められたが、他のCNF投与群では認められなかった。各CNF投与群では、CNFが肺胞中隔、細気管支周囲リンパ組織、細気管支腔内に塊状あるいはびまん性に沈着し、CNF沈着部位を中心に炎症細胞の集積や線維芽細胞の増生が観察された。さらに、肺門リンパ節においてもCNF沈着が認められた。これらの肺病変の程度は、投与したCNFの量に依存していた。一方、対照群では明らかな肺病変は認められなかった。 今回の実験より、CNFは経気道性曝露によって呼吸器官への障害を引き起こし、さらに、その一部は肺門リンパ節への沈着が観察されたことから、経気道性に曝露されたCNFは全身へ移行することが示唆された。
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