2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (30156674)
湯村 守雄 産業技術総合研究所, ナノカーボンセンター, 総括研究員 (10358301)
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Keywords | フラーレン / ナノマテリアル / ラット / 気管内投与 / 肺障害 |
Research Abstract |
フラーレンは、炭素原子のみから構成される球状のナノ材料である。今回フラーレンをラットの気管内に反復投与し、フラーレンの肺に及ぼす影響について検討した。【方法】実験動物にはWistarラット(雄)を用い、1週間の馴化の後、8週齢より実験に供した。実験群はフラーレン投与群が3群と対照群の4群設定し、各群5匹、合計20匹を用いた。試料はフロンティアカーボン社の製品nanom mix(C_<60>約60%、C_<70>約25%、C_<84>他約15%、粒径約20μm)を蒸留水で希釈し、投与に供した。フラーレン投与群は1回投与量1mg/kg,10mg/kg,20mg/kgの3群を設定し、対照群には0.8%TWEEN80/蒸留水(1回投与量1.0ml/kg)を投与した。各被験物質は2週間の間に5回投与し、最終投与の翌日に安楽死させ、肺を中心とした生体影響について検討した。【結果および考察】投与期間中の体重増加は、各フラーレン投与群と対照群との間で有意差を認めなかった。フラーレン投与群の肺の相対重量は量依存性に増加し、各フラーレン投与群で対照群に比べて有意な増加が認められた。各フラーレン投与群では、フラーレンが肺胞腔内、肺胞中隔、細気管支周囲リンパ組織、細気管支腔内に塊状あるいはびまん性に沈着し、フラーレン沈着部位を中心に炎症細胞の集積が観察された。最高濃度投与群における肺の炎症性変化は低濃度群に比較して際立って重篤なものではなかったが、フラーレンの沈着は各投与群の肺門リンパ節においても認められた。これらの病理学的変化の程度は、フラーレンの投与量に依存していた。一方、対照群では明らかな肺病変は認められなかった。今回の実験よりフラーレンの経気道性曝露によって沈着部位での炎症反応を引き起こし、一部は肺門リンパ節への沈着が観察されたことから、経気道性に曝露されたフラーレンは全身へ移行する可能性が示唆された。
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