2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590517
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
槇田 裕之 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30209407)
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Keywords | DDE / トリブチルスズ(TBT) / 周産期曝露 / 複合影響 / 雄性生殖器 / 成長発達 |
Research Abstract |
交配し妊娠を確認したメスラット(母ラット)に、体重1kgあたり10mgのp,p'-DDE(DDE)と2mgのトリブチルスズ(TBT)を、それぞれ単独にあるいは両方を飼料に混ぜて、妊娠1日目より授乳が終了する出産後21日目までの42日間にわたって摂取させ、この母ラットから生まれたオス仔ラットの成長や発達に対する影響を、発達学的視点から評価した。実験では、妊娠した母ラット24匹を、コントロール群、DDE群、TBT群、DDE+TBT群の4群、各6匹に分け、それぞれ、通常飼料(CE-2)、125ppm DDEを含むCE-2飼料、25ppm TBTを含むCE-2飼料、125ppm DDEと25ppm TBTの両方を含むCE-2飼料を摂取させた。その後、母ラットの妊娠、出産に対する影響とその母ラットから生まれたオス仔ラットに対する影響を12週齢まで観察した。オス仔ラットは、12週齢で剖検しDDEとTBTの周産期曝露による次世代影響を詳細に検討した。 母ラットの妊娠経過には、各群において異常は認められず、すべての母ラットが正常な出産をした。出産の指標である出生率、生産率、性比、出生数などにもDDEやTBTによる明らかな影響は認められなかった。しかし、オス仔ラットの成長はTBT群で有意に遅延し、曝露が終わった後も、その影響が持続した。母ラットを介した周産期のTBTへの曝露が、胎仔に何らかの不可逆性の変化をもたらしたものと考えられた。しかし、DDEとの複合曝露では、TBTによる影響が阻止された。オス仔ラットの成熟後の剖検では、雄性生殖器である精巣、精巣上体、前立腺、精嚢には、DDEやTBTによる影響は認められず、精巣や精巣上体の病理学的な変化も観察されなかった。オス仔ラットの精子数や精子の運動性、性腺刺激ホルモンやテストステロンの血清中濃度にも、DDEやTBTによる明らかな影響は認められなかった。
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