2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内化学物質暴露による誘発される脳発達障害の新しい評価法および臨界期の解析
Project/Area Number |
17590525
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑形 麻樹子 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (70398684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 哲郎 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (60384210)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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Keywords | 発生神経毒性 / 胎児脳 / 多動性障害 / 自閉症 / BrdU / バルプロ酸 / 発達障害 / 自発運動 |
Research Abstract |
本研究では、1.多動性障害モデル(胎生期5-bromo-2'-deoxyuridine暴露)および2.自閉症モデル(胎生期バルプロ酸暴露)における化学物質暴露直後の胎児脳への影響を組織形態学的に検討すること、3.多動性障害モデルにおける多動発現の臨界期の解明し、4.暴露時期による出生児の行動の変化と暴露直後の胎児脳の病理組織学的所見との関連を解析することにより、子宮内化学物質暴露と脳発達障害との関連を明らかにし、脳発達障害の新たな評価法の試みおよび臨界期の解析を目的としている。 平成17年度は、3.多動発現の臨界期の解析を実施した。我々の既報からSDラットの妊娠9-15日に5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU、50mg/kg)を腹腔内投与し自然分娩にて得られた雄出生児は、オープンフィールド( OF ) において顕著な自発運動量の増加を示すことから、今回はBrdU暴露時期を妊娠9、10日投与群(B-I群)、妊娠 11、12、13日投与群(B-11群)、妊娠14、15日投与群(B-III群)に分割し、BrdU(50mg/kg)を腹腔内投与し、生後5週にOF試験を実施して自発運動量を測定した。陽性対照群として妊娠9-15日投与(B-all群)を設定し、対照群には0.5%メチルセルロースナトリウム溶液を投与した。その結果、B-all群の運動量は分割投与群(B-I,B-II,B-III)の運動量と比較すると有意な増加を示した。B-I群では自発運動量の増加は認められなかったが、B-II群、B-III群では対照群と比較して自発運動量は有意に増加した。また、B-all群の自発運動量の増加の程度は、B-II群およびB-III群の自発運動量の増加を加算した値に近かった。即ち、胎生期BrdU暴露により発現する多動の臨界期は、神経管閉鎖後に存在するがその期間は比較的広く、行動への影響は総投与日数に依存すると考えられた。平成18年度はこの結果をもとに、1.2.および4.の胎児脳の検討を実施する。現在、動物実験はほぼ終了し、胎児脳の薄切切片作製中である。
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