2006 Fiscal Year Annual Research Report
バナジウムによるp53活性化機構とその毒性学的意義
Project/Area Number |
17590526
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松岡 雅人 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50209516)
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Keywords | パナジウム / p53 / ATM / リン酸化 / シグナル伝達 / 活性酸素 |
Research Abstract |
1 5価バナジウムであるメタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)を曝露したA549ヒト肺胞上皮細胞において、濃度(10-200pM)および曝露時間(8-48時間)依存性のp53蛋白セリン15部位リン酸化を認めた。また、wort-manninおよびcaffeine処理実験により、p53蛋白セリン15部位リン酸化に至るシグナル伝達経路として、ATM(ataxia telangiectasia mutated)の関与が考えられた。 2 ヒトATM遺伝子に対するsiRNAを用いたATMノックダウンにより、A549細胞におけるメタバナジン酸ナトリウム曝露(100pM、48時間)によるセリン15部位リン酸化型p53蛋白レベル上昇は69%、総p53蛋白レベルは39%低下した。従って、阻害剤および本ノックダウン実験により、バナジウム曝露ではATM経路依存性のp53蛋白セリン15部位リン酸化が生じることを明らかにした。 3 p53蛋白セリン15残基をアラニンに置換した遺伝子をA549細胞に導入し、メタバナジン酸ナトリウムを曝露(100μM、48時間)したところ、バナジウムによるp53転写活性およびヌクレオゾームレベルの上昇は、野性型p53遺伝子導入細胞に比し、各々17%、15%抑制された。 4 過酸化水素消去剤catalaseおよび抗酸化剤N-acetylcysteine(NAC)の処理では、メタバナジン酸ナトリウム曝露(100μM、48時間)によるセリン15部位リン酸化型p53蛋白レベル上昇は、明らかには抑制されなかった。 次年度、バナジウム曝露によるp53蛋白セリン15部位リン酸化がもたらす毒性学的意義、特にp53転写活性、標的遺伝子発現、アポトーシス、についての検討を行う。また、バナジウム曝露によるp53蛋白セリン部位リン酸化に及ぼす活性酸素の影響についても追加実験を行う。
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