2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590527
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
伊規須 英輝 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (60108686)
|
Keywords | アクリルアミド / SH-SY5Y / MAPK / ERK / p53 / U0126 / 神経毒性 |
Research Abstract |
ヒト神経芽腫細胞(SH-SY5Y)にアクリルアミド(0.5〜5mM)を暴露し、p53ならびにMAPK(mitogen-activated protein kinaseすなわちextracellular signal-regulated protein kinase(ERK)、p38、c-Jun NH_2-terminal kinase(JNK))のリン酸化を免疫沈降およびWestern blottingにより調べた。細胞毒性はトリパンブルー排除およびLDH漏出を指標として評価した。その結果、アクリルアミドの暴露量および時間に応じて、トリパンブルー排除低下およびLDH漏出増加がみられた。また、p53蛋白、リン酸化型p53蛋白、p53関連蛋白(murine double minute2(MDM2))が増加した。p53蛋白のリン酸化はセリン15部位に限られていた。MAPKのうち、ERKとp38はリン酸化されたが、JNKのリン酸化は見られなかった。LL-Z1640-2はアクリルアミド暴露によるp38のリン酸化を阻害したが、p53蛋白リン酸化は抑制しなかった。U0126およびPD98059はアクリルアミド暴露によるERKリン酸化を阻害し、p53蛋白ならびにそのリン酸化、さらにMDM2増加を抑制した。wortmanninもp53蛋白増加とp53蛋白リン酸化を抑制した。一方、細胞毒性は、U0126およびPD98059で抑制されたが、LL-Z1640-2およびwortmanninは無効であった。今回の結果は、SH-SY5Y細胞において、アクリルアミドが、p53蛋白リン酸化を促進すること、またこれに、MAPKとPIKK(phosphatidylinositol3-kinase-related kinase)経路が関与することを示唆するものである。このうち、特にERK経路が、p53蛋白リン酸化と細胞毒性発現に重要と考えられた。
|