2008 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国のアルツハイマー病及び生活習慣病の現状とその発症メカニズムを解明する
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17590530
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
翠川 薫 Mie University, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (20393366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
中村 哲 国立国際医療センター研究所, 適正技術開発移転研究部, 室長 (40207874)
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
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Keywords | 生活習慣病 / アルツハイマー / 有害金属 / 開発途上国 / ラオス / 東南アジア |
Research Abstract |
先進国で深刻な問題となっている認知症を始めとする様々な生活習慣病の解明の為に、その現状がまだ明らかではない開発途上国における調査研究を行い発症メカニズムを解明する事を本研究の目的としている。開発途上国であるラオスは近年、経済発展が進む中で糖尿病、高血圧等の生活習慣病が増加する傾向にあることが、本研究の調査により明らかになってきた。20年度は9月に国立マホソート病院のラオス人医師らと首都近郊の塩生産工場を抱える村で健康調査を実施した。インフォームドコンセントを得られた参加者から血液採取を行いラオ族におけるアルツハイマーの危険因子であるAPOE遺伝子解析を行った。また21年3月には南部の少数山岳民族における健康調査も同様に行った。これらの調査から塩生産工場労働者を抱える村では農業中心の村と同様にBMI25以上の肥満が32.7%と中高年における肥満度が高い事がわかった。メタボリックシンドローム予備群と判断された者が全体の17.3%で、農業中心の村と比較し、高血圧の割合が1.4倍高かった。また毛髪から、日本人の2倍以上のCd,Al等が検出された。隣接する農村の井戸水と毛髪からも同様に多量の有害金属が検出されており、これらの有害金属は発がん性も高く、Alはアルツハイマーの危険因子でもあり、生活習慣病の蔓延と合わせて2重のリスクに曝されている事が明らかになった。これらの研究成果は急速に経済発展を遂げつつある途上国住民の健康を守る上で大変意義があり、今後も引き続き病院と協力し生活習慣病に関する住民意識を高めると共に保健省への情報提供と住民へのフィードバックが必要である。本年度の研究成果は平成20年9月ラオスの「2nd National Health Research Forum of Lao P.D.R.」及び、平成21年3月の第79回日本衛生学会総会で発表した。
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Research Products
(7 results)