2006 Fiscal Year Annual Research Report
性差医学に基づく中高年女性における血中脂質異常および肥満の予防に関する研究
Project/Area Number |
17590533
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 慶彦 順天堂大学, 大学院医学研究所, 助教授 (70250933)
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Keywords | 産業衛生 / 生活習慣病 / 肥満 / 血中脂質 / 運動 |
Research Abstract |
山形県内の産業事業所において健康診断の前に血中脂質および肥満などの生活習慣に関する指導を従業員に対して個別に面談して行った。そして指導2週間後に健康診断を実施して、前年度の健康診断結果と比較して生活指導の効果の有無を判定した。動脈硬化関連の検査データの比較項目として血圧、血中脂質(中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール)を用いた。対象者の中でBMI(body mass index)が25以上の肥満者の割合は51.4%であり、12.9%はBMIが30以上の高度肥満者であった。運動および食事指導によって53.3%に肥満の改善が、30.5%に運動習慣の改善が、また58.8%1に検査データの改善が見られた。BMIが改善(低下)した群のうち、運動習慣の増加した群では検査データの改善が高率(81.3%)にみられたが、BMIが逆に増加した群においてもこのうちの運動習慣増加群では63.6%に検査データの改善がみられた。したがって運動は肥満と独立して検査データの改善に有効であった。一方、肥満の程度によって運動習慣の改善率に相違が見られた。すなわち、軽度および中等度の肥満群(BMI:25〜30)では運動習慣の増加が40.5%にみられたが、高度肥満群では運動習慣の増加率は14.3%と低かった。さらに検査データの改善率についても軽中等度肥満群では52.4%と高かったのに対して高度肥満群では11.1%と低かった。以上の結果から、産業衛生現場での生活習慣に関する面談指導は肥満や臨床検査データおよび運動習慣の改善に有効であるが、その効果は肥満の程度により異なり、高度肥満者に対しての指導の効果は少ない一方、肥満の改善がなくても運動の改善が検査所見の改善にっながる可能性が示唆された。したがって、生活習慣病予防のために肥満の程度に応じて内容を工夫した個人指導が必要であることが判明した。
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