2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢転居者に対する介入研究:介護予防とproductivity向上をめざして
Project/Area Number |
17590535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲斐 一郎 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (30126023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 民 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80323608)
久田 満 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50211503)
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Keywords | 高齢者 / 転居 / 介入研究 / 社会活動 / 孤立感 / 主観的幸福感 |
Research Abstract |
平成18年度は、介入プログラムを実施し、参加者への効果、および参加者を支援するボランティア高齢者への効果も把握した。 1.プログラムが参加者に及ぼす影響の効果評価 東京都A市に転入した65歳以上男女のうち、研究参加に同意し、介入前調査(郵送自記式)に回答した63名を介入群21名と対照群42名とに無作為に割付けた。このうち介入群を対象に、全4回からなる介入プログラムを実施した。介入1ケ月後に再度調査を実施し、介入前後の変化を対照群との比較を通じて検討した。有効回収数は介入群20名、対照群38名であった。介入群は対照群と比較して、A市における組織活動への参加意向度および市内の高齢者向けサービスに対する認知度が有意に向上していた。また、主観的幸福感の有意な向上および孤独感の有意な軽減がみられた。参加者13名を対象に、フォーカスグループディスカッションを実施し、得られた言説を内容ごとに分類した。ネットワーク形成、孤独感解消、地域活動への積極性を得、これらを通じて地域で生活する自信を得ていた。 2.参加者を支援するボランティアとして参加した高齢者(以下、ボランティア高齢者)への効果 ボランティア高齢者は、平成16年に高齢転居者の社会的孤立防止のためのプログラムに参加した者のうち、参加に同意した5名であった。ボランティア高齢者は4回のプログラム中、会場設営やお茶だし、参加者への声かけを行った。フォーカスグループディスカッションの結果、ボランティア経験から自信を得るとともに、より若い参加者と交流することで活力を得ていた。また、2年前のプログラム参加者同士が再び集まることでネットワークが再形成されたとの効果を認識していた。 以上から、本プログラムは、高齢転居者の社会的孤立を軽減する効果を持つとともに、参加者を支援するボランティア高齢者にとっても有意義な活動であることが示唆された。
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