2005 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群の肥満に対する個別患者教育システム創設における分子疫学的研究
Project/Area Number |
17590541
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小谷 和彦 鳥取大学, 医学部, 助手 (60335510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構, 京都医療センター・臨床研究センター・予防医学研究室, 室長 (40335443)
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Keywords | 社会医学 / 行動科学 / 遺伝子 / 代謝 / 肥満 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
メタボリック症候群の中核病態である肥満対策は急務である.メタボリック症候群と遺伝子多型(SNPs)の関連研究は依然十分ではなく,また患者個別教育や予防医学の現場でその遺伝子多型の情報をいかに活用していくかは将来的な課題である.本研究では,既存の生活習慣介入のほかに,行動科学的手法や遺伝子多型をはじめとした患者教育に従来用いられてこなかった検査指標を加えて,オーダーメイドな患者教育システムづくりを目指している.初年度は,以下の成果を認めた. 1)肥満関連遺伝子多型に関する研究 肥満に関わるSNPsについて,既知のSNPsを基に関連研究を行った.健康教育の参加者のうち201名の女性(平均43.2歳)を対象とし,体格指数や脂質・糖などの血液検査値,さらにangiotensin II 2型受容体の3123C/A SNPを調べた.C/C型群では体格指数が有意に高かった.β_3-adorenergic受容体(Arg64Trp),peroxisome proliferator-activated receptor γ_2(P PARγ_2;Pro12Ala),uncoupling protein-1(UCP1;-3826A/G)なども解析したが有意な所見を得なかった.今後,SNPsと体重変動などの臨床情報に対する介入効果を観察する予定である. また,SNPsに対する関心は一般住民にも流布しつつあり,その中で代表的なβ_3-adrenergic受容体Trp64Argの結果を周知して健康教育を行うことは教育効果に影響するか否かを検証する教室も企画した.現時点で,少なくともSNPsの周知による有害事象は認めていない. 2)減量に対する行動科学的研究 3か月間の肥満教室に参加した90名(平均60.7歳,男:女=15:75)を対象に,実行した生活習慣要因と体格指数の教室前後の変化度との関係を調べ,減量に効果的な行動要因を探った。摂取エネルギー制限,摂取脂肪比の低減,運動(身体活動)の増加,体重の記録の生活習慣要因について,実行の有無の主観的評価を参加者に求めた.単相関で運動(γ=0.294)と体重の記録(γ=0.351)の励行が有意に関連した.重回帰では体重の記録の励行(β=0.256)が有意に関連した.今後,リバウンドなどとの関連も調査する予定である.
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