2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群の肥満に対する個別患者教育システム創設における分子疫学的研究
Project/Area Number |
17590541
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小谷 和彦 Tottori University, 医学部, 講師 (60335510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構, 京都医療センター・臨床研究センター・予防医学研究室, 室長 (40335443)
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Keywords | 社会医学 / 行動科学 / 遺伝子 / 代謝 / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
メタボリックシンドローム(MetS)の中核である肥満対策は急務である.現在,MetSと遺伝子多型(SNPs)の関連研究は世界的に進行し,また患者教育や予防医学の設定でそのSNPsの活用は今日的課題である.本研究課題では,肥満やMetSの構成疾患とSNPsなどの関連と,行動科学やSNPsを考慮した生活習慣介入を行い,よりオーダーメイドな患者教育システムづくりを目指している.今年度は次の成果を認めた. 1)肥満やMetS構成疾患における関連SNPsの研究 経年的に症例数が集積される中,SNPsの相関解析を引き続き行った.熱産生や脂肪分解に関わるuncoupling protein-1(UCP1)SNPsについて今年度は有意な結果を得た.健康教育を受けた298名の男女(平均45歳)を対象とし,肥満関連検査値と-3826A/G SNPsを調べた.男性ではGG型保有群でHDLコレステロールが高値で,女性では同型群で低HDLコレステロール血症の存在が低頻度であった.また,578名の男女(平均58歳)を対象に,高血圧と同SNPsの関連を調べた.男性群において,また男女を合わせた60歳以上の群においてGG型では高血圧の保有が高かった(オッズ比は各々2.3,1.9).以上は,肥満やMetSの病態理解に資する結果と思われた. 2)患者教育におけるSNPsの影響に関する研究 一定の生活習慣介入による患者教育後の肥満関連指標に対するSNPsの影響を調べた.174名の女性(平均59歳)を少なくとも1年間追跡した.β_3アドレナリン受容体Trp64Arg SNPsのArg保有群では,非保有群に比べて減量しにくい傾向(-1.5対-2.1kg)があり,総コレステロール(-2.1対-9.4mg/dL)と中性脂肪(+2.0対-23.9mg/dL)の低下は有意に少なかった.また,UCP1-3826A/G SNPsのG保有群では,非保有群に比べて減量が有意に少なかった(-1.7対-2.3kg).これらは,患者教育効果にSNPsの影響が少ないながらもみられる可能性を示唆している.なお,本検討ではSNPs情報を対象に伝えていないが,これまでの我々の患者教育経験から,多因子遺伝の説明をはじめとしてSNPs情報の伝達などには依然工夫が要ると考えている.
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