2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群の発症予防に向けたリスクファクターの網羅的解明
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17590546
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 達郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40304935)
安部 恵代 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90372771)
大石 和代 長崎大学, 医学部, 教授 (00194069)
青柳 潔 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80295071)
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Keywords | ダウン症候群 / 葉酸 / ホモシステイン / MTHFR / カザフスタン共和国 |
Research Abstract |
ダウン症候群は、精神遅滞の原因としてもっとも頻度の高いもので5,000人に1人程度の頻度で見られ、母子保健における大きな問題のひとつである。近年、ダウン症候群の子供を生んだ母親では、葉酸の代謝に関与している酵素の一つであるmethylenetetrahydrofolate reductase(MTHFR)遺伝子における677番目の塩基がCからTに多型性を示す頻度が増加しており、これによる血中ホモシステインの上昇が染色体の不安定性を惹起することが示唆されている。本申請では、CGH(Comparative Genomic Hybridization)法を用いて染色体上におけるダウン症候群発症関連領域の網羅的な解析を行い、同時に栄養学的、臨床的な評価を行うことで包括的なダウン症候群発症リスクの同定を行うことを目的としている。 本年度はまず、日本におけるダウン症候群出産経験群と、正常出産経験群におけるMTHFR遺伝子多型の頻度を調査し、また症例ごとのホモシステイン、葉酸値とMTHFR遺伝子多型の相関についてデータ解析を行った。同時に、中央アジアのカザフスタン共和国におけるライフスタイルから葉酸摂取の不足が予想される点に着目し、同共和国セミパラチンスクのセミパラチンスク医科大学と共同で本地域における葉酸レベル、ホモシステインレベルの調査を行った。その結果巨赤芽球性貧血患者の75%に葉酸欠乏が見られるのみならず一般住民レベルにおいても血清葉酸レベルが日本人対照群に比して有意に低下していることが示された。さらに血漿ホモシステインレベルは日本人対照群に比して上昇しており、本地域における葉酸摂取不足とそれに伴うホモシステインの上昇が示唆された。現在、本地域におけるDown症候群についての症例-対象研究を、日本と同様のデザインで進めるため、サンプリングを開始しており、次年度に解析を行う予定である。
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