2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群の発症予防に向けたリスクファクターの網羅的解明
Project/Area Number |
17590546
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高村 昇 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 達郎 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40304935)
安部 恵代 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90372771)
大石 和代 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00194069)
青柳 潔 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80295071)
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Keywords | ダウン症候群 / 葉酸 / ホモシステイン / MTHFR遺伝子 |
Research Abstract |
ダウン症候群は、精神遅滞の原因としてもっとも頻度の高いもので5,000人に1人程度の頻度で見られ、母子保健における大きな問題のひとつである。近年、ダウン症候群の子供を生んだ母親では、葉酸の代謝に関与している酵素の一つであるMTHFR遺伝子における677番目の塩基がCからTに多型性を示す頻度が増加しており、これによる血中ホモシステインの上昇が染色体の不安定性を惹起することが示唆されている。本申請では、ダウン症候群発症関連領域の網羅的な解析を行い、同時に栄養学的、臨床的な評価を行うことで包括的なダウン症候群発症リスクの同定を行うことを目的としている。 本年度は、昨年度からサンプリングを行ってきた葉酸欠乏地域である中央アジアのカザフスタン共和国において、正常群、ダウン症母親群のサンプルを用いての解析を行った。その結果、正常群においてホモシステインの関連因子を検索したところ、年齢で調整すると葉酸との関連はみられなかった。その一方で、MTHFR遺伝子のC677T遺伝子多型との相関を検索したところT/T群においてはC/C群及びC/T群に比べてホモシステインの有意な上昇を示した。興味深いことに、年齢をマッチングさせた日本人正常人群においては、MTHFR遺伝子多型とホモシステイン濃度との関連は見られなかった。すでに我々は、昨年度の調査で血清葉酸レベルがカザフ人において日本人に比較して著明に低いことを示したが、今回の結果は葉酸の摂取状況のMTHFR遺伝子多型/ホモシステインへの影響を示唆するものである。さらに我々はカザフ人におけるDown症候群出産群と正常群における葉酸、ホモシステイン、ならびにMTHFR/C677T遺伝子多型頻度の比較を行ったが、いずれにおいても両群で差はなかった。これはDown症候群出産群のサンプル数の不十分さに起因する可能性が高く、引き続きサンプリングを行っていく。
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