2007 Fiscal Year Annual Research Report
ロタウイルス下痢症の疾病負担:3歳までの入院罹患リスクの推定
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17590547
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
横尾 美智代 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (00336158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
宮城 由美子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20353170)
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Keywords | ロタウイルス / 質問紙調査 / 意識調査 / 下痢症 / 定期予防接種 / ワクチン |
Research Abstract |
これまでの研究で、3歳までのすべての下痢症による累積入院率は6.2%、ロタウイルス胃腸炎関連疾患による入院率は3.2%という推計値を得た。この値は先進国の中でも高い入院リスクであり、乳幼児を持つ保護者の経済的、心理的負担は少なくない。重症化しやすいロタウイルス胃腸炎への予防手段にワクチン接種がある。第二世代のロタウイルスワクチンは、現在、世界100カ国、1100万人以上の乳幼児に投与されている。入院例抑止に最も効果的手段であるロタウイルスワクチンの日本への導入検討は早晩必要になる。そこで、小児科医、乳幼児を持つ保護者がワクチンの必要性をどのように考えているか、意識調査を実施した。北九州地区小児科医会の協力を得て、開業小児科医(74名)と3歳児健診受診者の保護者を対象にワクチンの必要性、適当と思われる接種形態(小児科医のみ)、適当と思われる自己負担額など質問紙調査を行った。回答は依頼した小児科医の50%(37名)とその小児科医を健診受診目的で訪れた3歳児の保護者(251名)から得られた。その結果、小児科医の90%以上はワクチン導入に賛成であり、57%が定期接種導入を支持していた。最も積極的回答(定期予防接種への組込支持、積極的投与予定)は24%であった。保護者は、70%が「ロタウイルス」を聞いたことがあり、47%は子どもが3歳までにロタウイルスで外来を受診していた。受診経験有りの親は経験のない親と比較してワクチンの必要性を認めていた(P=0.014)。69%の保護者はワクチンの必要性を認めていたものの、支出可能な自己負担金額は「3000円」以下の金額提示が60%以上であり、保護者の支出意志は低い。結論として、小児科医、保護者ともにロタウイルス胃腸炎重症化予防のためにワクチンの必要性を認めていた。しかし、保護者の支出意志の低さから、定期接種への導入による公費負担によらなければ本疾患の減少につながるような効果は望めないと思われた。
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Research Products
(1 results)