2006 Fiscal Year Annual Research Report
病院前救急医療システムの時間的空間的効率化に関する研究
Project/Area Number |
17590548
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大重 賢治 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (50343398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杤久保 修 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30046099)
久保田 勝明 消防研究所, 基盤研究部, 研究員 (90358797)
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Keywords | 病院前救急医療 / 効率性 / 地理情報システム / 救急車 |
Research Abstract |
研究の背景と目的 近年、救急車の出場件数が急増している。心肺停止事例の救命率は、救急処置が施されるまでの時間に反比例するが、救急搬送需要の増加は、救急隊の現場到着時間の遅延をもたらし、救急処置が施されるまでに要する時間を延長させつつある。 本研究では、地域救急医療システムを効率的に運営するための地理情報システム(GIS)を用いて、消防隊が、病院前救急活動に関与した場合の効果について検討を行った。 方法 横浜市における救急搬送記録を用いて、心肺停止事例に対する現場到着までの時間を検証した。また、GIS (ArcGIS Network Analyst)を用いて、救急隊のみが対応した場合のカバーできる地域と、消防隊も一次救命に参加した場合のカバーできる地域について検討した。 結果 心肺停止事例に対応した救急隊の現場までの走行距離は平均2.33km(標準偏差1.42)であり、走行距離が5km以上の事例が5.2%あった。現場への到着時間は平均5.99分(標準偏差2.26)であり、現場到着までの時間が10分以上であった事例が6.2%存在した。また、走行距離が1km伸びると到着時間が約1.3分延びることが観察された。GISを用いた分析では、現在の横浜市の救急隊の配置は、走行距離約2.68km(走行時間4分)にて、大部分の地域をカバーできているが、救急隊と消防隊の連携によって重層的に地域をカバーできることが示された。 考察 現在の横浜市の救急隊の配置は、地理的には極めて効率的に配置されているが、重層的ではなく、その為、救急隊が出動することによって、その地域に空白地帯が生まれる。結果、現場から離れた場所にある救急隊が出動し、走行距離の長い事例や現場到達時間の遅い事例が発生していると考えられる。今後は救急隊と消防隊の連携等による重層的な対応を検討すべきである。
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Research Products
(3 results)