2006 Fiscal Year Annual Research Report
耐糖能異常が及ぼす血管内皮機能障害とその修飾要因に関する疫学研究:明日香村研究
Project/Area Number |
17590551
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
斉藤 功 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90253781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 義彦 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90388801)
森脇 千夏 別府大学, 食物栄養学部, 講師 (90280289)
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Keywords | 耐糖能異常 / 血管内皮機能 / 疫学 / リスクファクター / 糖尿病 |
Research Abstract |
血管内皮機能は循環器疾患のリスクファクターとして注目されている。本研究では、橈骨動脈の脈波形の加重平均を求め、Modified Windkesselモデルに基づき血管弾性、血管抵抗を算出する測定機器を用い、Large artery elasticity index (C1)とSmall artery elasticity index (C2)を求めた。本法は、すでに妥当性の検証も行なわれている。平成16-18年度奈良県明日香村において実施してきた「ストップ・ザ糖尿病作戦」健診受診者658人中、虚血性心疾患、脳卒中治療中、心房細動を除く640人(男238、女402)を分析対象とした。本研究では、HDI/Pulse Wave CR-2000を用い仰臥位にて5分間以上安静の後、右手橈骨動脈から脈波形を読み取り、同機器によりC1、C2の値を求めた。一般的に、C1、C2いずれも値の低い方が、血管内皮機能が低下していると解釈される。本研究は、対象者全員に早期の耐糖能異常者を見出すことを目的に75gぶどう糖負荷試験を実施した。本研究では臍周囲径、体脂肪、血圧、空腹時血糖、負荷後2時間血糖値、HbAlc、 TCH、 HDLC、 HOMA指数(FBS×IRI/405)、中性脂肪、LDLC、上肢-下肢の脈波伝播速度(baPWV)について分析を行なった。C1、C2の精密度について検討したところ(n=37)、前者CV=15.6%、後者CV=16.5%であった。なお、C1とC2の相関係数は0.45である。本研究は、奈良県立医科大学倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを取って実施した。C1、C2は、いずれの年齢層においても女性のほうが低く、また、年齢が進むにしたがって平均値は低下した。C1とC2の平均値は、それぞれ14.Oml/mmHg×10、4.6ml/mmHg×100であった。C1、C2レベルをそれぞれ4分位に分け、リスクファクターとの関連を検討したところ、C1は、最大・最小血圧、空腹時血糖、HOMA指数と、C2は、最大・最小血圧、中性脂肪との関連を認めた。いずれの指標においても血圧、baPWVとの関連が強く認められた。C1、C2とも血圧との関連が強い。空腹時血糖、HOMA指数は、小動脈の領域を反映するC2よりも大動脈領域のC1との関連の方が強かった。動脈のドメインにより、リスクファクターの及ぼす影響が異なることが示唆された。
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Research Products
(2 results)