2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病発症前段階における非薬物的アプローチとしての経穴刺激の有用性
Project/Area Number |
17590564
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
石崎 直人 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助教授 (90212878)
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Keywords | 糖尿病予防 / インスリン抵抗性 / 耐糖能 / glucose clamp / 鍼刺激 / 通電 / 糖負荷試験 |
Research Abstract |
当該年度は腹部経穴への鍼通電刺激が正常及び糖尿病モデル動物における空腹時及び糖負荷時の血糖値変動に及ぼす影響を確認し、さらに正常及び糖尿病モデルのインスリン感受性に及ぼす鍼通電刺激効果についても検討した。 1.正常雄性SDラットの空腹時及び経静脈ブドウ糖負荷時の血糖変動に及ぼす腹部鍼通電刺激の効果の検討 7-8週令の正常SDラットに、持続麻酔下で経静脈糖負荷試験を行い腹部鍼通電の影響を観察した。空腹時30分間の腹部鍼通電(15Hz,10mA)では、血漿インスリン値の上昇とともに血糖値が有意に低下した。糖負荷後の血糖総量も通電刺激群では有意に低く相対的インスリン分泌は高値を示した。 2.糖尿病モデル動物の空腹時及び糖負荷時の血糖値に腹部鍼通電刺激が及ぼす効果の検討 糖尿病モデルは、上記1.の結果に基き選定した。今回は糖負荷に対するインスリン分泌不全と末梢組織におけるインスリン抵抗性を併せ持つ糖尿病自然発症モデルであるGK(Goto-Kakizaki)ラットを対象として上記1.と同様の検討を行なった。GKラットでは空腹時30分間の鍼通電刺激で血漿インスリン値は上昇した。また空腹時血糖値の降下は有意に至らなかったが糖負荷後血糖総量は対照群と比較して有意に低値であった。糖負荷後の相対的インスリン分泌量は2群で差異がなかった。 3.正常及び糖尿病モデル動物におけるインスリン抵抗性に及ぼす腹部鍼通電刺激の急性効果 7-9週令の正常SD及びGKラットを用いてhyperinsulinemic euglycemic clampによりインスリン感受性に及ぼす腹部鍼通電の効果を観察したところ、通電中のブドウ糖注入率(GIR)は顕著に増加した。 上記1.〜3.の結果から、腹部への鍼通電刺激はインスリン分泌亢進もしくはインスリン感受性亢進によって、糖尿病における耐糖能を改善する可能性が示唆された。
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