2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロダイゼクタを用いた、突然死事例における脳組織のミトコンドリアゲノム解析
Project/Area Number |
17590573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本田 克也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00240789)
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Keywords | 突然死 / ミトコンドリアゲノム / 微量元素 / 脳組織 / 体液 / 多変量解析 |
Research Abstract |
法医学において、もっとも問題の多い、突然死の実態把握のため、昨年度までに体液の微量元素測定のための、実験条件の確定や測定方法の確立、および正常データベースの収集を行った。試料としては、剖検検査として採取した髄液、血液、尿を用い、IONS3(アイネクス)を用い、計測方法を検討している。その結果、いずれの試料も脂肪や蛋白成分など高分子有機物を、遠心分離およびフィルター除去により適切に処理することが、測定に有効であることが確認できた。 なお測定可能元素としては現在までにカドミウム、鉛、銅、亜鉛、マンガン、でほぼ測定が可能となった。その結果、髄液や体液、尿には元素間の相関関係が認められるが、いくつかの慢性疾患では、特に心疾患、糖尿病、高脂血症などでは、特異性の高い異常値が見られる可能性が示唆された。なお尿中の元素は腎疾患の状態を反映していることも示唆された。有害元素とされるカドミウムについては、血中に微量に存在している事例が少なからず見受けられ、そうでないものとの比較が必要であると考えられる。この研究により有用な成果が得られれば、血液や尿検査により突然死事例の健康状態の把握が可能になるとともに、疾患の診断にも応用できることも期待される。 本年度はさらにこれまでの研究成果を踏まえ、さらに測定方法を改良しつつデータを収集し、マイクロダイゼクタによる脳組織のミトコンドリアゲノム解析を行い、体液との相関を解析する予定である。解析結果は多変量解析、特に因子分析を行い、関連性の高い元素群に分類し突然死との関連性について研究する予定である。
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