2006 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒によるミトコンドリアの機能障害と毒性発現に関する研究
Project/Area Number |
17590586
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / ヒドロキシルラジカル / ラット / 線条体 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / cGMP |
Research Abstract |
ミトコンドリアで生成されるnitric oxide(NO)が、酸化ストレスさらにアポトーシスに関与することが示唆されている。Thomらは、一酸化炭素(CO)中毒ではNO生成が増加し、これが細胞毒性に関与すると報告しているのに対し、我々は、一酸化炭素(CO)中毒ではNO生成が抑制されると報告している。そこで、CO中毒によるヒドロキシラジカル(・OH)生成にNOが関与するか否かについて検討し、次のような結果を得た。 1)我々は、NO合成酵素(NOS)の基質、すなわちNOの前駆体であるL-arginine(L-Arg)およびNOSの基質とはなりえないD-Argは、いずれも単独ではCOによる・OH生成を抑制することをすでに報告している。NOS阻害薬N^G-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)は、COによる・OH生成を抑制し、L-Argはこの抑制を解除した。D-Argも同様の作用を有していたが、L-NAMEとD-Argの併用により・OH生成はCO単独の場合よりも増加した。 2)L-NAMEとは異なるNOS阻害薬N^G-monomethyl-L-arginine(L-NMMA)は、COによる・OH生成を増強し、L-Argはこの増強を部分的に解除したが、D-Argは、L-NMMAによる増強をさらに増強した。 3)cGMP生成をNO生成の指標とした場合CO中毒はcGMP生成量を増加させたが、この増加はNOS阻害剤により影響を受けなかった。 以上の結果より、CO中毒による酸化ストレスには、NO生成それ自体よりもNOSが一部関与する可能性が示唆された。
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