2006 Fiscal Year Annual Research Report
老人性痴呆に伴う心理・行動学的症状に対する和漢薬治療の検証
Project/Area Number |
17590592
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 鋼 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90396432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 啓行 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30261613)
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Keywords | 認知症 / 漢方 / 心理行動学的症状 / 抑肝散 / 和漢薬 / アルツハイマー病 / 日常生活動作 / 認知機能 |
Research Abstract |
[目的]認知症における心理行動学的症状(BPSD)とADLに対する漢方薬抑肝散の効果と安全性を観察者盲検ランダム化比較臨床研究で検討した。 [方法]52名の認知症患者(男性18名女性34名、平均年齢80.3士9.0歳)をランダムに二群に分け、一群(n=27)には医療用エキス製剤抑肝散(1日7.5g分3)を4週間内服させ、非服用群(n=25)をコントロールとした。両群共に従来の治療及び看護を継続した。抗精神病薬の使用については研究開始後1週間の時点でやむを得ない場合に限り、塩酸チアプリドを投与した。The Neuropsychiatric Inventory(NPI)testをBPSDの指標とし、またMini-Mental State Examination(MMSE)を認知機能の、さらにBarthel IndexをADLの指標として用い、前後の値を評価した。錐体外路症状他あらゆる有害事象について観察し、記録した。 [結果]全ての対象者が観察を終了した。コントロール群では観察開始1週間の時点で11名が塩酸チアプリドの追加投与を必要とした。抑肝散投与群ではNPIが37.9±16.1から19.5±15.6(mean±SD)へ有意に改善し、Barthel indexで評価したADLも56.4±34.2から62.9±35.2へと有意に改善した。MMSEには有意な変化を認めなかった。コントロール群ではいずれわ指標も有意な変化を生じなかった。錐体外路症状は両群とも観察されなかったが、コントロール群で塩酸チアプリドを使用した対象者の内6名にはめまい、ふらつきが生じた。 [結論]抑肝散は認知症患者に於けるBPSDとADLを有意に改善した。本方剤の有用性について今後placeboを用いた大規模二重盲検ランダム化比較研究が望まれる。
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