2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん発症における疾病親和性パーソナリティの役割についての症例対照研究
Project/Area Number |
17590595
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永野 純 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (10325483)
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Keywords | がん / ストレス / パーソナリティ / 大腸がん / 疫学 / 危険因子 |
Research Abstract |
統計解析:「福岡大腸がん研究」の参加者のうち、ストレス調査票に回答した患者494人と対照住民805人を解析対象とした。住民対照者において、ストレス調査票の各尺度について4分位のカットポイントを求めた。パーソナリティと大腸がんリスクとの関連において交絡する可能性のある共変量として、体格(肥満の有無)や生活習慣要因(身体活動、飲酒、喫煙、食事など)を考慮した。食事要因に関するデータ・クリーニングならびにデータセットの作成は研究協力者が実施し、その後のデータ処理は研究代表者が行った。オッズ比とその95%信頼区間の推定、および傾向性の検定、ならびに共変量の補正には多重ロジスティックモデルを用いた。統計解析にはSAS(Windows版,9.0)を用いた。 結果:ストレス調査票尺度のうち、感情抑圧や喪失・失望と関連した尺度はいずれも大腸がんリスクと関連していなかった。しかし、ヒステリー性パーソナリティと関連した「両価性」および「利己性」尺度は、得点が高いことがリスクの低下と関連していた。パーソナリティ要因(ストレス調査票尺度)と体格(肥満の有無)、喫煙、飲酒、食事などとの間には、ほとんど関連がないか、あっても弱い関連にとどまっていた。これらの共変量を補正しても、パーソナリティと大腸がんリスクとの関連はほとんど変化しなかった。最低4分位に対する最高4分位のオッズ比(95%信頼区間)は、年齢、性、居住地(福岡市、周辺地域)、体格指数、喫煙、飲酒、職業の種類(身体活動度で分類)、非職業性身体活動度、野菜類の摂取、果物の摂取、赤身肉類の摂取、および魚介類の摂取を補正した結果、両価性が0.7(0.5-0.9)、利己性が0.6(0.4-0.9)と推定された。 本研究は、両価性や利己性が大腸がんリスク低下と関連することを示した最初の研究と思われる。
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