2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
嶋田 裕之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90254391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
詫間 浩 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00326258)
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 糖尿病 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
近年アルツハイマー型痴呆の前段階としてMCIという概念が提唱されている。一方糖尿病とアルツハイマー型痴呆との関連に関して近年の疫学調査からは、糖尿病の存在はアルツハイマー型痴呆の危険因子であると考えられている。本研究においては、高齢糖尿病患者を対象に、その認知機能を評価検討した。当院糖尿病・内分泌内科に入院している65才以上の糖尿病患者のうち、糖尿病合併症の進行した患者、他の内科疾患を有する患者、そして痴呆性疾患、明らかな脳血管障害を有する患者を除外した後、本人の自覚症状の有無、血糖コントロールは問わず、今年度は合計98例の患者がエントリーされた。検査は心理士がMMSEとリバーミード行動記憶検査(RBMT)を行った。その結果MMSEが24点以上でRBMTのSPSが15点以下のいわゆるMCIに相当する患者は12例、MMSE24点以下、RBMTのSPS15点未満の早期ADに相当すると考えられる患者が19例、MMSE、RBMTとも正常で認知機能障害を認めない患者が67名であった。それらの患者のうち早期AD2例、MCI3例の5例に関してアルツハイマー型痴呆との鑑別を行うためSPECT検査を施行、同時に統計学的画像解析(3D-SSP)を行い有意な血流低下が存在するかどうか確認した。いずれの患者においてもいわゆる後部帯状回や側頭、頭頂葉の血流低下は認められず、AD型の血流低下パターンは認めなかった。このことはこれらの認知機能障害がADとして出現しているのではなく、糖尿病が原因で認知機能の低下が出現している可能性が示唆された。また糖尿病患者全体で血糖コントロールとRBMTのSPSとの間には、空腹時血糖(p<0.001)、HbAlC(P<0.03)と有意な相関関係が認められた。このこともまた糖尿病すなわち血糖コントロールが認知機能に影響を及ぼしていることを示唆しているものと思われる。
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