2006 Fiscal Year Annual Research Report
漢方方剤「小青竜湯」の気道感染症に対する有効性の作用機序と作用成分の解析
Project/Area Number |
17590601
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
永井 隆之 北里大学, 北里生命科学研究所, 講師 (00172487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 北里生命科学研究所, 助教授 (70161601)
砂塚 敏明 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (30226592)
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Keywords | 漢方薬 / 小青竜湯 / 粘膜免疫 / プロテオーム解析 / 気道炎症 / ピネリン酸 / インフルエンザ / 東洋医学 |
Research Abstract |
本研究では、漢方方剤の一種である「小青竜湯」の気道感染症に対する有効性の作用機序並びに作用成分を明らかにすることを目的とする。今年度は、小青竜湯に含まれる気道免疫増強成分の気道感染症に対する作用について検討を行った。 我々は経鼻接種インフルエンザワクチンに対する小青竜湯のアジュバント成分として、構成生薬の半夏からピネリン酸(9,12,13-トリヒドロキシ-10E-オクタデセン酸)を見出している。当初、ピネリン酸の8種の立体異性体のうち、9S,12S,13S体が活性成分であると考えられたが、純度の高い9S,12S,13S体には活性が認められなかった。半夏から精製したピネリン酸は少量の他の成分を含んでいたため、立体異性体の協力作用について検討を行った。BALB/cマウス(♀、7週齢)に21日おきに2回試料を経口投与し、インフルエンザワクチンを経鼻接種し、1週間後にELISA法により鼻腔及び肺洗液の抗インフルエンザウイルス(IFV)抗体価を測定した。その結果、9S,12S,13S体または9S,12R,13R体を単独で経口投与しても鼻腔洗液及び肺洗液中の抗IFV IgA抗体価の上昇は認められなかった。これに対し、9S,12S,13S体と9S,12R,13R体を混合して投与すると、鼻腔洗液及び肺洗液で抗IFV IgA抗体価の有意な上昇が認められた。そこで、2回目のワクチン接種1週間後にIFVを下気道感染させ、マウスの生存率及び体重を観察した。その結果、9S,12S,13S体と9S,12R,13R体を混合して経口投与すると、IFV感染20日後のマウス生存率の著しい改善、及びIFV感染による体重の低下の有意な抑制が認められた。今回、立体異性体の組み合わせにより、ピネリン酸にアジュバント活性が認められたことから、漢方薬における立体異性体の協力作用が初めて明らかにされたと考えられる。
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Research Products
(1 results)