2007 Fiscal Year Annual Research Report
漢方方剤「小青竜湯」の気道感染症に対する有効性の作用機序と作用成分の解析
Project/Area Number |
17590601
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
永井 隆之 Kitasato University, 北里生命科学研究所, 講師 (00172487)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 北里生命科学研究所, 准教授 (70161601)
砂塚 敏明 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (30226592)
|
Keywords | 漢方薬 / 小青竜湯 / 粘膜免疫 / プロテオーム解析 / 気道炎症 / ピネリン酸 / インフルエンザ / 東洋医学 |
Research Abstract |
本研究では、漢方方剤の一種である「小青竜湯」の気道感染症に対する有効性の作用機序並びに作用成分を明らかにすることを目的とする。今年度は、「小青竜湯」の抗気道炎症作用について気道炎症モデルマウスを用い、組織学的および免疫学的検討を行なった。さらに、経口ステロイド薬との比較により作用機序の違いについて検討した。その結果、小青竜湯投与及びプレドニゾロン投与で肺洗浄液、血液中の好酸球数が有意に減少した。肺組織中での好酸球の浸潤、平滑筋の肥大、粘液産生細胞の増生などの炎症像の軽減はプレドニゾロン投与により観察されたが、小青竜湯投与では軽度であった。また、肺洗液および血漿中のOVA特異的IgE、IgG_1抗体価は小青竜湯の投与により有意に低下したが、プレドニゾロンの投与による低下は認められなかった。さらに、気道過敏性は小青竜湯やプレドニゾロンの投与により有意に低下し、低濃度の刺激においては小青竜湯がプレドニゾロンよりも強く低下させた。これらの結果より、小青竜湯は免疫系に作用してアレルゲン特異的抗体価を低下させることで有効性を示すことが考えられた。これに対し、プレドニゾロンは肺組織で強い抗炎症作用を示すことが考えられた。アガロース二次元電気泳動法でのプロテオーム解析により気道炎症モデルマウスの肺で発現量が低下し、小青竜湯の投与で回復することが見出されたspectrinα2は、ウェスタンブロット法及び免疫組織化学的検討においても回復が認められ、I型肺胞上皮細胞に発現していた。これに対し、プレドニゾロンを投与してもspectrinα2の回復は認められなかった。これらの結果より、抗気道炎症作用の機序の一部が両薬剤において異なることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)