2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティック異常を標的とした消化器癌に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
17590613
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
深井 健一 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60361432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横須賀 收 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90182691)
今関 文夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (40223325)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / エピジェネティック異常 / DNAメチル化 / 発現制御 / 抗がん剤 / 脱メチル化剤 / 動物モデル |
Research Abstract |
1.ヒト肝癌細胞に対する塩酸プロカイン(PCA)の脱メチル化作用 HLE、HuH7、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5、HuH6に対し、1mM PCAで72時間処理したところ、検討した4種類の遺伝子HAI-2、p161NK4a、GST-P1、NQO1のmRNAの発現量がコントロールに比し有意に増加していた。さらにこれらの遺伝子のCpGアイランドはPCA処理により脱メチル化されていることが分かった。 2.ヒト肝癌細胞に対するPCAの増殖抑制効果 (1)in vitroでの検討:HLE、HuH7、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5、HuH6に対し、種々の濃度のPCAで処理し、96時間後の生細胞数をMTSアッセイにより検討したところ、HLE、HuH7、HuH6においてはそれぞれ20-30%の増殖抑制効果を認め、その効果は用量および時間依存性を示した。一方、Hep3B、HepG2、PLC/PRF/5および初代培養肝細胞においては明らかな増殖抑制効果を認めなかった。TUNELアッセイの結果、DAC処理ではアポトーシスが誘導されたのに対し、PCAではアポトーシスはほとんど見られなかった。FACS解析ではPCA処理後HLE細胞はS期の細胞数増加とG2/M期の細胞数の減少を認め、S期からG2/M期への移行が阻害されていることが分かった。(2)in vivoでの検討:5週齢のヌードマウス(BALB/c)の皮下にHLEを移植し皮下腫瘍を作成しPCAの抗腫瘍効果を検討したところ、6週時の腫瘍体積がコントロールに比べ42±4%縮小していた。DAC、PCAAに比べてもその抗腫瘍効果は大きかった。 3.胃癌に対するPCAの脱メチル化作用と増殖抑制効果 AGS、MKN1、MKN45、MKN74、KATOIIIを種々の濃度のPCAで処理し、96時間後の生細胞数をMTSアッセイにより検討したところ、すべての細胞においてコントロールに比し有意な生細胞数の低下を認めた。0.5mM PCAで処理した胃癌細胞におけるp16INK4aのDNAメチル化状態をmethylation-specic PCRにて検討したところ、KATOIII細胞で同遺伝子の脱メチル化に伴うmRNAの発現回復を認めた。さらにcDNAマイクロアレイ解析のデータを基にクラスター解析を行ったところ、PCA処理による遺伝子発現変化はDAC処理に伴うものと明らかに異なっていることが分かった。
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