2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ischemic preconditioningによる肝の虚血耐性獲得メカニズム
Project/Area Number |
17590615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手島 一陽 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (30396733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80202422)
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90227637)
柳瀬 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50334397)
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Keywords | Ischemic preconditioning / 虚血再灌流障害 / Kupffer細胞 / NADPH oxidase / reactive oxygen species(ROS) |
Research Abstract |
Ischemic preconditioning(IP)の肝保護作用におけるKupffer細胞活性化のメカニズムを、Kupffer細胞の主要な活性酸素産生系であるNADPH oxidase系に着目し検討したところ、NADPH oxidase阻害剤によってIPの肝保護作用が消失する事が明らかとなった。一方、過酸化水素(H_2O_2)によるpreconditioningの肝保護作用も、Kupffer細胞の除去、ないしNADPH oxidase阻害によって消失する事が明らかとなった。更にH_2O_2投与直後にKupffer細胞が活性酸素を産生し得る事が見出された。従って、IPとH_2O_2 preconditioningはともにKupffer細胞のNADPH oxidase活性化による活性酸素産生を介して虚血再灌流障害に対する肝保護作用を発現していることが明らかとなった。In vitroにおいては、5時間anoxia後の2時間reoxygenationによる培養肝細胞viabilityの推移が虚血再灌流障害を再現し得る事が確認された。同モデルを用いて様々な濃度のH_2O_2によるpretreatmentを施行したが、残念ながら肝細胞への直接的なpreconditioning効果は捉えられなかった。これらの研究結果を踏まえると、肝の虚血耐性獲得メカニズムにおいては、Kupffer細胞が重要な役割を担っていること、また、効果発現細胞である肝細胞に対しては、reactive oxygen species(ROS)のうち活性酸素ラジカルが作用している可能性が考えられた。 今後は、H_2O_2と活性酸素ラジカルの細胞膜透過性の差異に着目した検討、更にH_2O_2以外に活性酸素ラジカルを発生させる物質を用いたpreconditioningの検討を灌流実験、in vitroの系の両面から行っていきたい。
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Research Products
(1 results)