2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵内分泌細胞の分化におけるJAM-1の新たな機能の解析
Project/Area Number |
17590616
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真嶋 浩聡 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10261869)
|
Keywords | AR42J細胞 / JAM-1 / タイトジャンクション(TJ) / 分化 / 膵内分泌細胞 |
Research Abstract |
AR42J細胞は膵共通前駆細胞の性質を持つ。アクチビンAとベータセルリンの作用でインスリン産生細胞へ分化する時、タイトジャンクション(TJ)を形成しないにも関わらず、JAM-1は著明に発現が亢進し、TJからのシグナル伝達分子であるPAR-3やatypical PKCλも発現が亢進した。しかし、理由は不明であるが、免疫細胞染色を行うと、AR42J細胞ではJAM-1は染色されなかった。タグ(myc)のついたJAM-1を過剰発現させ、抗myc抗体で染色すると細胞膜上と細胞内にドット状に染色された。極性をもった上皮細胞であるMDCK細胞では、通常状態においてJAM-1は細胞間にのみ染色されるが、過剰発現をさせると細胞内にもドット状の発現がみられた。JAM-1は膵ラ氏島においてインスリン産生細胞に発現すると予想されたが、免疫組織化学にて検討すると、β細胞ではなく、α細胞に発現していた。TJに局在するいくつかの蛋白は結合部にとどまるのではなく、分裂や増殖にあわせて、細胞内をリサイクリングしていることが報告されており、Rabファミリーに属するRab3BやRab13がこのリサイクリングを調節しているとの報告もある。MDCK細胞を用いて2重染色を行った所、JAM-1はRab3BやRab13と局在が一致した。以上より、1.AR42J細胞がインスリン細胞に分化する際、JAM-1およびその情報伝達系が活性化すること、2.JAM-1はTJだけでなく、細胞内においてRab3BやRabl3と同じ小胞上に存在すること、3.膵ラ氏島ではβ細胞ではなく、α細胞に発現していることが明らかとなった。JAM-1は膵内分泌細胞の分化に大きな役割を果たしていることが予想されるが、分化のどの段階に影響を及ぼしているかが興味深く、今後はβ細胞、α細胞の細胞株であるMin6細胞、αTC細胞を用いて、JAM-1の発現、局在を検討する。またこれらの細胞株にアクチビンとベータセルリンを添加し、JAM-1の発現の変化をインスリン量・グルカゴン量の変化と共に検討し、JAM-1が膵内分泌細胞の分化とどのように関連しているかを検討してゆく。
|