2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト臍帯血由来間葉系幹細胞を用いた肝細胞への分化誘導と細胞移植
Project/Area Number |
17590625
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
陳 正新 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (10376783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿沼 晴 東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員(特任助手) (30372444)
坂本 直哉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (10334418)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | 再生医学 / 発生・分化 / 移植・再生医療 / 幹細胞 / 臍帯血 / 細胞移植 / 細胞生物学 / 肝細胞 |
Research Abstract |
我々は当該研究において、ヒト膳帯血から間葉系幹細胞を樹立し、肝細胞への分化誘導を行い、それを肝障害モデル動物への細胞移植に用いる方法を開発する研究を行い、平成18年度の成果として下記を得た。 1)ヒト膀帯血由来間葉系幹細胞(CB-MSC)の樹立、2)CB-MSCの分化誘導、3)CB-MSCへのHNF4強制発現系の構築:平成17年度より継続。CB-MSCの培養系に対してMatrigelを添加する、もしくは、HNF4を強制発現させたCB-MSCを用いると、分化誘導の効率が改善する傾向が見られた。従って、これらの細胞を、樹立したCB-MSCと同様に、下記の移植系に応用する方針とした。 4)肝障害に対する細胞移植モデルへの応用、5)移植マウスの解析:NOD/SCID mouseに対して抗マウスFas刺激性抗体を反復投与することによって、従来の移植モデルよりも臍帯血由来細胞の生着率が高くなることを確認した。このモデルマウスへのCB-MSC移植を試みたが、生着がほとんど認められなかった。一方で、ALB promotorの支配下にuPA transgeneを組み込んだtransgenic mouseとSCID mouseの交配マウス:ALB-uPA/SCID mouse(知的クラスター創成事業吉里プロジェクトより研究協力を得て使用した)に対して膀帯血由来細胞を移植したところ、前記のモデルよりも高い生着率と、生着細胞の機能的な終末分化が見られた(Kakinuma et a1.,2007)。 これらの結果から、ヒト脾帯血由来細胞が肝疾患に対する移植細胞供給源になりうる可能性が示された。本研究の成果は、臍帯血を用いた肝再生医療の実現化に向けた基盤となるものであり、当初の目的を達成したものと考えられる。しかしながら、継続して検討すべき項目もあったので、今後さらに、移植後のヒト臍帯血由来間葉系幹細胞の機能分化に関して検討し、致死的肝疾患の治療に応用する試みを継続してゆきたい。
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