2005 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスレプリコン増殖を制御する宿主蛋白の包括的解析宿主蛋白の包括的解析
Project/Area Number |
17590626
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
坂本 直哉 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10334418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿沼 晴 東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員 (30372444)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
榎本 信幸 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
井津井 康浩 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | HCVレプリコン・システム / サイクロスポリンA / 抗ウイルス療法 / siRNA / 遺伝子導入療法 |
Research Abstract |
申請者らは、独自に構築したキメラリポーター蛋白発現HCVレプリコンシステムを用いて、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する新たな抗ウイルス化合物の探索、およびHCV増殖に関連し抗ウイルス薬の標的となる宿主分子の探索を行い、以下の結果を得た。 1.我々は、免疫抑制剤として広く用いられているサイクロスポリンA(CsA)が、HCVレプリコンを特異的に抑制することを報告しているが、さらに、(1)ゲノタイプ1bに加え、ゲノタイプ2a HCVレプリコンを用い、CsAのHCV抑制効果が両ゲノタイプ間で同様に認められることを確認した。(2)近年報告されたHCV-JFH1細胞培養系を用いて、CsAがHCVレプリコンのみならず、HCV増殖、感染粒子形成も抑制することを確認した。(3)siRNAを用いてCsAの細胞内結合たんぱくであるサイクロフィリン・ファミリー、カルシニューリン等の遺伝子発現を抑制し、HCV増殖を解析したところ、サイクロフィリンA, B及びCの抑制によりHCV増殖が特異的に抑制された。これらの結果より、サイクロフィリンがウイルス増殖、ウイルス蛋白成熟に必須であること、またこれらの蛋白が抗ウイルス療法の標的となりうることを示した。 2.臨床で広く用いられている生薬(漢方薬)成分化合物の細胞内HCV増殖に対する効果をHCVレプリコンを用いて解析を行ったところ、甘草の2成分、isoliquiritigenin、およびglycycoumarinにおいて、濃度依存性にレプリコン増殖抑制効果を認め、その50%増殖抑制濃度は16.3μg/ml、および5.24μg/mlであった。 3.HCV急性感染とその治癒過程において発現するインターフェロン誘導遺伝子(ISG)を個々にレプリコン細胞に遺伝子導入し、その抗ウイルス効果を解析したところ、GBP-1,IFI6-16,IFI27などの蛋白に未だ報告されていない抗ウイルス効果があることを見いだした。 本研究により同定された分子群はいずれもHCV研究あるいは治療開発の新しい分野への展開が期待できるものであり、今後さらにウイルス増殖に関与する宿主蛋白の同定、抗ウイルス療法の新たな標的分子の探索を遂行して行く。
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