2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化作用を持つプロバイオティクスを用いた炎症性腸疾患治療法の開発
Project/Area Number |
17590634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 彰功 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50362463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 肇 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70303914)
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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Keywords | チオレドキシン / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
1.昨年度デキストラン硫酸(DSS)誘発大腸炎に対して、野生型マウスに比べチオレドキシントランスジェニック(TRX-TG)マウスおよびリコンビナントTRX-1蛋白投与マウスでは、体重減少、血便と組織学的大腸炎が軽減することを報告した。今年度は引き続き慢性大腸炎モデルであるインターロイキン(IL)-10欠損マウスを用いて、大腸炎に及ぼすリコンビナントTRX-1蛋白の有効性を検討した。2週間のリコンビナントTRX-1腹腔内投与により、IL-10欠損マウスにおける慢性大腸炎モデルでも腸炎の改善効果が認められた。 2.TRX-TGマウスで血清マクロファージ遊走阻止因子(MIF)の低下が認められ、TRX-1による大腸炎抑制機序の一因と考えられたため、抗TRX-1血清を用いて検討を行った。DSS誘発大腸炎を起こした野生型マウスに抗TRX-1血清を投与して内因性TRX-1を阻害した場合、コントロール群に比べ血清MIFの上昇と大腸炎の悪化が認められた。 3.さらに、ヒトマクロファージ類似の培養細胞THP-1を用いた実験でも、THP-1に対するMIF分泌刺激に対して、リコンビナントTRX-1蛋白の添加によりMIF分泌が抑制された。これらの結果よりTRX-1によるMIF抑制作用が大腸炎抑制の機序として示された。 4.TRX-1がDSS大腸炎およびIL-10欠損マウスにおける慢性大腸炎に有効であることより、経口で腸管局所内に有効にTRX-1を投与する方法として、乳酸菌による腸管内TRX-1分泌を試みた。TRX-1遺伝子を乳酸菌用の蛋白発現プロモーターおよび分泌シグナルペプチドを持つプラスミドに組み込み乳酸菌に遺伝子導入したところ、培養液中へのTRX-1分泌を確認した。現在マウスを用いて大腸炎における治療効果を検討中である。
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Research Products
(4 results)