2006 Fiscal Year Annual Research Report
転移性肝癌に対する樹状細胞による癌免疫治療と分子機構の解析
Project/Area Number |
17590638
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
巽 智秀 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (20397699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70335355)
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Keywords | 肝癌 / 樹状細胞 / 癌免疫治療 / インターロイキン12 / EphA2 / α-galactosylceramide |
Research Abstract |
1)マウス肝癌の系を用いたEphA2由来ペプチド-DCワクチンによる抗腫瘍効果の検討 EphA2は、進行癌において発現率が高くなる新規癌抗原として発見された。我々はヒト及びマウスMHC class I&II結合ペプチドを同定した。本研究ではマウス大腸癌細胞MC38の皮下腫瘍モデルを用いてEphA2ペプチド-樹状細胞(Eph-DC)ワクチンの抗腫瘍効果を検討した。Eph-DCワクチンは効率的にEphA2特異的CTLを誘導し、これによりMC38皮下腫瘍に対し強い抗腫瘍効果があることを明らかにした(現在投稿中)。またMC38肝腫瘍モデルにおいてもEph-DCワクチンの抗腫瘍効果を検討しており、MC38肝腫瘍に対してはEph-DCワクチンのみならず、DCのみワクチンでも十分な抗腫瘍効果を認めたが、Eph-DCワクチンの方が長期的な獲得免疫の誘導には優れていることを明らかにした(現在投稿中)。 2)マウス肝癌に対するIL-12遺伝子導入DCによる抗腫瘍効果の検討 進行癌では樹状細胞(DC)機能が抑制され、このことが進行癌でのDC癌治療が困難な一因と考えられている。我々はTh1系サイトカインのIL-12遺伝子を進行癌由来DCに遺伝子導入し、マウス肝腫瘍モデルにてこれによる癌治療の有用性を検討した。担癌マウスより誘導したDCは正常マウスDCと比して抗原提示機能低下を認めたが、IL-12を遺伝子導入することで機能が回復した。マウス肝腫瘍に対しIL-12遺伝子導入DCを肝腫瘍内投与し抗腫瘍効果を検討した。IL-12DC投与により肝先天免疫及び獲得免疫両者とも活性化し、これにより強い抗腫瘍効果が得られることを明らかにした(Gene Therapy 2007)。 3)α-GalCerをパルスしたDCの肝腫瘍内投与による肝先天免疫活性化と抗腫瘍効果の検討 我々はα-GalCerをパルスしたDC(αGCDC)の肝内投与による、マウス肝腫瘍に対する抗腫瘍効果を検討した。αGCDCの肝内投与により肝先天免疫細胞を強く活性化することで、肝腫瘍は完全に排除された。また肝腫瘍拒絶後に肝腫瘍に発現している癌抗原由来ペプチド特異的なCTLの誘導をIFN-γELISA法にて確認した。さらに肝腫瘍拒絶後に皮下に腫瘍細胞を再接種した結果、腫瘍特異的な皮下腫瘍の拒絶が起こったことから、肝腫瘍に対するαGCDCの治療により強い獲得免疫が誘導されることを明らかにした(Hepatology 2007)。
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Research Products
(6 results)