2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝炎のCTL免疫モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
17590640
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30362700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 智秀 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (20397699)
|
Keywords | C型慢性肝炎 / CTL / ELISPOT / 免疫モニタリング / インターフェロン治療 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は、日本における慢性肝障害の原因の大部分を占めるが、進行して肝硬変や肝細胞癌を引き起こす。HCV排除を目指す治療としてI型インターフェロン(IFN)による治療法が確立されているが、IFN治療時のウイルス排除における、HCVの動態に関してはウイルス量やウイルスのgenotypeの視点から数多く解析されている。一方宿主側因子では、IFN治療の効果予測因子として確立されたものはない。本研究では、IFN-γELISPOT法を用いてIFN治療における細胞傷害性T細胞(CTL)のHCV蛋白に対する免疫反応を解析することを目的としている。HCV蛋白由来のHLA-classI結合ペプチドを合成し、このペプチドに対するCTLの免疫反応をIFN-γELISPOT法によって検討した。基礎実験として生体より採取したCTLはin vitroでの再刺激は必要なしでELISPOT法での検出が可能であることを確認した。次にペグインターフェロン及びリバビリン併用による治療を受けるC型慢性肝炎患者を対象に治療前、治療開始2週間後、4週間後にCD8陽性Tリンパ球を採取し、HCV由来ペプチド(HCV-Core35、-Core131、-NS3-1073、-NS3-1406)に対する免疫反応をIFN-γELISPOT法にて評価した。90%の症例において治療前のHCVペプチドに対するIFN-γ産生は非常に低かった。IFN治療後IFN-γ産生の増大は、2週間後で約50%の、4週間後で約70%の症例で認められた。4週間後にHCV-RNAが血中より消失した症例では、IFN-γ産生の増大は約80%の症例で認められた。以上より早期のHCV排除にHCV特異的CTLが関与していることが示唆された。HCV由来ペプチド中でも、コア蛋白由来のペプチドに対する免疫反応の方がNS3蛋白由来のペプチドに比して強い傾向があることから、HCV蛋白による免疫原性に違いがあることも示唆された。以上の結果よりIFN-γELISPOT法はC型慢性肝炎患者のCTL免疫反応を評価するのに有用な方法であることが明らかとなった。
|