2005 Fiscal Year Annual Research Report
Barrett上皮の発生・成熟・発癌における各種遺伝子発現の係わりに関する検討
Project/Area Number |
17590644
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
天野 祐二 島根大学, 医学部, 助教授 (80284032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 俊治 島根大学, 医学部, 講師 (80263531)
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Keywords | Barrett食道 / ムチン形質 / COX-2 / Reg gene / Fatty acid synthetase / Crystal violet色素内視鏡 |
Research Abstract |
2005年度はヒトBarrett食道の内視鏡生検材料による臨床的検討を重点的に行った。Barrett粘膜のムチン形質,COX-2の発現,PCNAによる細胞増殖およびssDNAによるapoptosisの程度を免疫組織化学的検討により検討することで,発癌リスクの高いBarrett食道を同定するのに成功し,さらにこれらをcrystal violetを用いたpit patternの判定から内視鏡的に選定する診断法も確立し,これらの成果を発表した(Digestive and Liver Disease, in press)。また,Barrett食道におけるReg geneの発現を世界に先駆けはじめて証明し,その臨床的意義を検討した。Reg geneの発現はBarrett食道の消褪の主要因である再扁平上皮化と関連することが見出され,このことはBarrett食道消褪治療への応用の可能性を示唆するものであり,論文として報告した(Scandinavian J Gastroenterol, in press)。 さらに,胃の腸上皮化生に発現し胃癌発癌に関与すると報告のあるFatty acid synthetase(FAS)に着目し,同様に腸上皮下生が本態であるBarrett食道での発現を検討したところ,腸型ムチン形質で,細胞増殖能の亢進したBarrett粘膜との関連が見出された。このことは,2006年度DDW Japanで発表予定としている。FASは癌の増殖・転移に関与するerbB-2遺伝子と密接に関連し,erbB-2→HIF1-αを介したVEGFの発現を規定する因子として注目されている。今後,FAS発現と低酸素状態の関連について検討が必要と考えている。一方,Reg transgenic, knockout mouseにおけるBarrett腺癌発癌実験は,モデル作製の基礎手法を取得中で,2006年度に本技実験に移行する予定である。
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