2005 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌病原関連蛋白CagAの宿主内作用因子解析と胃疾患発症機構解明
Project/Area Number |
17590648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤田 純子 山口大学, 医学部, 助手 (30346548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤田 倫治 山口大学, 工学部, 助教授 (20201882)
中村 和行 山口大学, 医学部, 教授 (90107748)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 助教授 (60322244)
西川 潤 山口大学, 医学部, 助手 (00379950)
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Keywords | CagA / Helicobacter pylori / 酵母遺伝学 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
ピロリ菌は病原関連エフェクタータンパクCagAを宿主細胞内に注入し、胃上皮系細胞に著しい形態変化を誘導することが知られてきた。CagAによる形態変化の誘導は、宿主細胞内情報伝達系の撹乱を反映しており、その分子メカニズムの解明はピロリ菌による胃疾患発症機構の解明に直結すると思われる。そこで真核細胞内でのCagAの機能を明らかにするために、酵母野生株および遺伝子破壊株シリーズ4792株に、CagA遺伝子を発現させた。yEGFPタグを用いた解析からCagAは、野生株酵母において胃上皮培養細胞と同様に、細胞膜周辺に局在することが明らかになり、CagAは細胞膜かその近傍で機能していることが示唆された。6段階にわたる遺伝子破壊株セットのスクリーニングを行い、野生株で認められた弱い致死性と比べて強い致死性を示すCagA超感受性株18株が分離された。これら18遺伝子のうち、7遺伝子はエンドサイトーシス機構に関与していた。yEGFP-CagAと細胞膜プローブのリアルタイム画像解析から、CagAはエンドサイトーシスの開始を遅らせていることが明らかになった。さらには、CagAの凝集体はエンドサイトーシスの起点と共局在することが観察され、CagAは酵母においてエンドサイトーシスの初期過程を阻害していることが示唆された。エンドサイトーシス機構は全ての真核生物において保存されていることから、このCagAによるエンドサイトーシス阻害は、ピロリ菌の病原性に関与するCagAの新しい機能と考えられる。
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Research Products
(1 results)