2007 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌病原関連蛋白CagAの宿主内作用因子解析と胃疾患発症機構解明
Project/Area Number |
17590648
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤田 純子 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30346548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤田 倫治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20201882)
中村 和行 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90107748)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 准教授 (60322244)
西川 潤 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00379950)
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Keywords | CagA / Helicobacter pylori / エンドサイトーシス / VacA / 胃疾患 / 持続感染 |
Research Abstract |
CagAとVacAはピロリ菌の病原性発現において重要である。VacAは菌体外に分泌される細胞空胞化毒素であり、CagAは菌体より直接胃上皮細胞に注入され細胞機能を撹乱するエフェクター蛋白である。我々は先に、CagAを酵母内で発現させると生育阻害をおこすこと、酵母遺伝子破壊株セットを用いてそのCagA活性を抑制する遺伝子を検索した結果、エンドサイトーシス関連遺伝子が関与する可能性が推測された。続いて、酵母内で発現させたCagAがエンドサイトーシスを阻害すること、さらに培養細胞において発現させたCagAが、リピッドラフト依存性エンドサイトーシスを阻害し、宿主細胞へのVacAの取り込みを阻害することを見出した。今年度我々は、ピロリ菌と培養細胞の共培養条件下において、CagAがVacAによる細胞空胞化を抑制するか否かを明らかにし、感染の場における2つの病原因子の役割を検討した。まずピロリ菌CPY2052株のCagA遺伝子欠損株(ΔcagA)、VacA遺伝子欠損株(ΔvacA)、両遺伝子欠損株(ΔcagA ΔvacA)を作成し、AGS細胞との共培養を行った。CagAを保有する野性株においてはΔcagA株に比べてVacAによる細胞空胞化が有意に抑制されていた。野性株とΔcagA株のVacA分泌量はほぼ同程度であったが、細胞内に取り込まれたVacAの量はΔcagA株のほうが野生株よりもより多かった。したがって、ピロリ菌により細胞内に注入されたCagAは、分泌されたVacAが細胞内に取り込まれる量を制限することでVacAによる細胞障害を抑制し、CagAを保持する胃上皮細胞の維持に寄与していると考えられた。CagAはVacAだけでなくデキストランのエンドサイトーシスも抑制していたため、リピッドラフト依存性経路の中のGEECsエンドサイトーシス経路を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)