2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス複製モデルを用いた持続感染機序の解明および治療法の探究
Project/Area Number |
17590650
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日浅 陽一 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70314961)
|
Keywords | C型肝炎ウイルス / 複製モデル / IL-8 / インターフェロン / リバビリン / PKR / T細胞 / 抗HCV治療 |
Research Abstract |
1.新しいHCV遺伝子複製系を用いたIL-8を介したHCV増殖と宿主細胞の相互干渉、相互作用についての解析 昨年度、複数の細胞株を用いて、T7遺伝子の下流にC型肝炎ウイルス(HCV)の全長cDNAを持つプラスミドをトランスフェクションし、さらにT7遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを感染させ比較的長期間HCV遺伝子を発現できるHCV遺伝子複製系、及びアデノウイルスベクターを用いないT7持続発現細胞株を用いた遺伝子複製系を確立した。本年度は同複製系を用いてインターフェロン(IFN)、リバビリン(RBV)の抗HCV作用機序におけるInterleukin-8(IL-8)の役割について検討した。IFN添加後、すべての細胞株においてIL-8 mRNAは増加し、上清中へのIL-8の産生も増加した。RBVを単独で加えた際の変化では、肝細胞由来株においてのみIL-8 mRNAの増加がみられた。また上清中のIL-8も増加傾向であった。IFNにRBVを加えて培養した場合もIL-8産生は増加しており、いくつかのポイントではIL-8産生の相加的増加がみられた。IL-8はHCV増殖を促進し、インターフェロンのHCVに対する抗ウイルス作用に拮抗するという報告もあるが、IL-8はIFN阻害物質としてよりもむしろHCV排除に関与している可能性が示唆された。 2.C型肝炎患者の末梢血T細胞を用いた、インターフェロン、リバピリン併用療法におけるIL-8の変化についての解析 投与24時間後でIFN単独治療とリバビリン併用療法の末梢血T細胞のIL-8 mRNAを比較したところ、リバビリン併用群ではIL-8 mRNAの増加がみられ、リバビリン併用によりIL-8の発現が増加することを確認した。臨床サンプルを用いた解析からも、IL-8によるIFNの抗HCV効果への拮抗作用は否定的であると考えられる。しかしながらIL-8の増加が抗HCV治療効果に寄与しているかどうかについては不明のところも多く、今後の検討課題としたい。
|
Research Products
(6 results)