2006 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変に対する免疫寛容誘導樹状細胞を用いた治療法の開発
Project/Area Number |
17590651
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
AKBAR S・M・F 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 講師 (90294793)
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Keywords | 制御性樹状細胞 / 原発性胆汁性肝硬変 / Poly I : C / IL-10 / 自己抗体 |
Research Abstract |
制御性樹状細胞(DC)による原発性胆汁性肝硬変(PBC)の新しい治療法の開発を目的に実験を行っている。平成17年度にin vitroでの制御性DCの作製に成功し、その特性を報告した。制御性DCのin vivoでの免疫制御能を、PBCのモデルマウスを用いて検討した。PBCモデルマウスは、免疫賦活因子である、Poly I : Cを週2回×4ヶ月間投与することにより作製した。Poly I : C単独投与群、Poly I : Cと制御性DC投与群、Poly I : CとPBC特異的制御性DC投与群の3群にわけ、組織学的(門脈域の炎症細胞浸潤の程度、実質内の炎症細胞浸潤、胆管病変)、末梢血中の自己抗体(抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体)、末梢血中のサイトカイン濃度について比較検討を行った。Poly I : C単独投与群においては、組織学的に門脈域にリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤がみられ、胆管周囲の炎症細胞浸潤があり,PBC様の病変がみられた。また、血中に自己抗体が出現した。一方、制御性DC投与群とPBC特異抗原でパルスした制御性DC投与群においては、PBC様病変の改善がみられた。血中の自己抗体の出現率は、3群に差はみられず、自己抗体のパターンに関しても差がみられなかった。制御性DCを投与した群では、炎症抑制のサイトカインであるIL-10の濃度が高かった。今回の結果から、制御性DCが免疫反応を制御し、PBCモデルマウスの組織学的病変の改善をもたらしたことが考えられ、制御性DCが、PBCの新しい治療法になる可能性が示唆された。
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