2005 Fiscal Year Annual Research Report
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の病態解明と治療法の確立
Project/Area Number |
17590658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中牟田 誠 九州大学, 大学病院, 助手 (00294918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠城寺 宗近 九州大学, 大学病院, 助手 (20253411)
古藤 和浩 九州大学, 大学病院, 助手 (80289579)
井口 登與志 九州大学, 大学病院, 講師 (00294926)
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Keywords | 脂肪肝 / NAFLD / NASH / 脂肪酸合成 / 脂肪酸酸化 / ROS / SREBP1 / インスリン |
Research Abstract |
NAFLD(Nonalcoholic fatty liver disease)においては、脂肪酸の取り込み亢進、合成促進、分解(酸化)抑制のために、肝での脂肪酸の蓄積が生じ、結果的に中性脂肪の蓄積(脂肪滴の形成)が生じると考えられている。肝生検材料をもとにした脂肪酸代謝関連遺伝子の発現の検討では、(1)脂肪が蓄積しているにもかかわらず、脂肪酸合成酵素であるACC1、FAS遺伝子の発現が亢進しており、de novo脂肪酸合成が亢進していた。(2)中性脂肪合成酵素であるDGAT 1遺伝子発現は増加している一方、HSL遺伝子発現は低下しており、中性脂肪合成の亢進とその分解の抑制が認められた。(3)ミトコンドリでのβ酸化においては、その律足段階であるCPT 1遺伝子の発現が抑制されており、ミトコンドリアでのβ酸化は抑制されていると考えられた。その一方でペルオキシゾームでのβ酸化の亢進とミクロゾーム(滑面小胞体)でのω酸化の亢進が示唆された。(4)ペロキシゾームやミクロゾームでの酸化により生じたROS(Reactive oxygen species)に対する消去系であるカタラーゼ、SOD遺伝子の発現は増加していた。この発現形式はNASH(Nonalcoholic Steatohepatitis)でも同様であり、酸化亢進に伴ったROSの産生増加に対して、SODやカタラーゼなどの消去系が対応できずに細胞障害が惹起されていると想像される。また、興味あることに、これらの発現形式はアルコール性肝障害の際にみられるものと同じであり、両者が極めて類似する組織像を示すのは当然の帰結であるとも考えられた。 次に、de novo脂肪酸合成が脂肪の蓄積にもかかわらずに亢進しているメカニズムについて検討を行った。脂肪酸合成遺伝子はその上流に位置する転写因子SREBP1によりその遺伝子発現が制御されている。NAFLD症例ではSREBP1遺伝子の発現は亢進しており、病態の本質であることが示唆された。SREBP1遺伝子はインスリンシグナル系により正に、AMPKシグナル系により負に制御されているが、現在、NAFLDにおける両シグナル系の関与につき検討中である。
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Research Products
(2 results)